第40章 *浮雲リーブ*
ピーピー!!とけたたましく鳴る警報音を聞き付けた寮生たちがバタバタと集まってくる。たまらず3人は逃げ出し寮中を駆け回った
グリム『とりあえず適当な部屋に入ってやり過ごすんだゾ!』
ユウ『この部屋に入ろう!』
目に入った適当な部屋に急いで入ると、中は真っ暗でかなり広く、ユウ達は息を潜めてドアの向こうの声に耳を傾ける
スカラビア寮生A『どこへ行った?手分けして見つけ出せ!』
スカラビア寮生B『出てこい、ドブネズミどもめ!』
『ユウ..怖いよ..』
ユウ『大丈夫。静かにしていればすぐにどっか行くよ』
ユウの言葉通り寮生たちは完全にユウ達を見失い、慌ただしい足音をたてて遠くへと走り去っていった
グリム『ふぅ..行ったみてぇだな』
『早くしないとここも見つかっちゃうかも』
グリム『くそぉ..なんとか逃げ切る方法はねぇのか?にしても、ここはなんの部屋だ?真っ暗で何も見えねぇんだゾ』
『...んぶっ..なんかフサフサしたのが顔に..』
ユウ『どうしたの?』
『ユウ、スマホで照らして..何かいる』
ユウ『え!?わ、分かった..』
暗闇の中、突然顔にかかるくすぐったい感触に身じろぎ、ユウにスマホのライトで照らすように言うとすぐに小さな光が点灯した
照らされたことでくすぐったい原因の他に、この部屋がどこなのかも把握できた。ライトの光が部屋中の黄金を淡く輝かせている
絨毯『~~~♪』
『!!ぁ..絨毯さん..んふふ、くすぐったい』
気づいてくれたのが嬉しかったのか、絨毯はレイラの体に巻き付くようにクルクル回ると、上機嫌に揺れている
グリム『ここ、カリムの宝物庫か!鍵ひとつかけてねぇなんて、金持ちにも程があるんだゾ..そうだ!お前がいれば、見張りを振りきって外に出られるかも!』
絨毯『?』
グリム『やい、絨毯。お前をここから出してやる。だからオレ様達を寮の外まで連れていくんだゾ!』
グリムの言葉に絨毯は跳ね回り、やる気満々な様子でグリム達が乗りやすいように浮かぶ高さを低くした
グリム『よし、ユウ、レイラ。絨毯の上に乗り込むんだゾ!スカラビアにおさらばだ!』
ユウ『おっけー。よいしょ..』
『ん..絨毯さんよろしくね?』
絨毯『♪♪♪』