第39章 *苛烈マーチ*
アジーム家のコネだということが分かり、寮生達からは更なる不満の声が重なっていく
ジャミル『頼む。どうか今の話は聞かなかったことにしてくれ』
ジャミルは慌てて寮生たちを口止めをしようとしたが、周りの怒りの炎は燃え上がる一方だった
スカラビア寮生D『俺は昔から、アジームよりバイパーのような思慮深いやつが寮長になるべきだと思っていたんだ』
ジャミル『待ってくれ。俺だって特別優秀な訳じゃない。成績だって、いつも10段階でオール5の平凡さだ。寮長には相応しくないよ』
スカラビア寮生D『寮の精神にふさわしいかどうかは、魔法力じゃない』
スカラビア寮生Dの言葉を皮切りに、次々と寮生たちは寮長はカリムではなくジャミルだと声をあげていく
『『『スカラビアに無能な寮長はいらない!』』』
ユウ『..ヒートアップしてきちゃった』
『確かにヘビさんは優しいし良い人、かもだけど..どうしても横暴なシロさんが本当のシロさんだって思えない』
ユウ『そう、だね..』
『..?足音..』
奥から何者かの足音を拾ったレイラが耳をそちらに向けると、談話室の奥から寝ていたはずのカリムが姿を現した
カリム『..お前たち、こんな時間に集まって何をしている?』
『『『!!!』』』
グリム『げげっ、見つかっちまったんだゾ!』
ジャミル『カ、カリム..』
カリム『どうやらお前たちには昼間の訓練では物足りなかったようだな。体力があり余っているらしい。ジャミル!今すぐ寮生を庭へ出せ』
ジャミル『庭へ..?』
カリム『限界まで魔法の特訓をする』
『..みんな眠いし疲れてるのに..』
カリム『聞こえなかったのか?早く庭へ出ろ!』
『シロさん..』
ジャミル『..分かった。お前たち外へ出ろ』
渋々といった様子で寮生達に向き直ると、彼らもジャミルの辛そうな表情に嫌だと言えるわけもなく、ゾロゾロと談話室を出ていく
『ヘビさん..』
ジャミル『..すまない。こんなことになってしまって..君たちも疲れているのに』
『ヘビさんの方が疲れた顔してる』
ジャミル『..悪い』
カリム『そこの3人も早くしろ!』
グリム『ひぃ!』
ユウ『..頑張れ二人とも』