第39章 *苛烈マーチ*
グリム『ガクッ!アドバイス求めといて速攻却下するんじゃねーんだゾ』
『何でダメなの?』
ジャミル『俺の一族・バイパー家は先祖代々アジーム家に仕えている。家臣が主人に刃を向けるなんて許されるわけないだろう?それに、俺がそんなことをしたとカリムの父親が知れば、バイパー家の処分は免れない』
『家族を捲き込みたくないんだね..ヘビさんは』
ジャミル『ああ..俺の勝手で路頭に迷わせたくない』
ユウ『でもカリム先輩があのままだと、寮生さんたちが参ってしまう..』
スカラビア寮生A『そうですよ。俺たち、もうカリム寮長にはついていけません!』
スカラビア寮生B『今のカリム寮長は、寮長の条件を満たしていない!スカラビアの精神に反しています!』
『寮長の条件?スカラビアの精神?』
聞きなれない二つの言葉に首をかしげると、それを見たジャミルがすぐに説明してくれた
ジャミル『ナイトレイヴンカレッジの7つの寮における寮長の条件は"寮の精神に一番相応しい者であること"..逆に、寮で一番でないなら寮長の資格はない。決闘は分かりやすく"一番"を決める方法と言える。
7寮それぞれ特色が違うから"ふさわしい"条件も寮によるんだ。
例えばポムフィオーレは、誰より強烈な毒薬を作れる者が寮長になるのが伝統らしい』
グリム『げっ、なんか怖い寮なんだゾ!じゃあ、カリムはなんでスカラビアの寮長に選ばれたんだ?』
ジャミル『前寮長の指名さ。カリムのそれまでの働きぶりと人徳が"寮で一番だ"と評価されたということだよ』
カリムが選ばれたときは俺も嬉しかった..と懐かしそうに目を細める
スカラビア寮生A『それも、ジャミル先輩の助力あってのものじゃないですか!寮生はみんな知ってますよ』
スカラビア寮生B『なんで前寮長はジャミル先輩を選ばなかったんだ!?』
ジャミル『アジーム家の親戚筋の人間が本家の跡取りを差し置いて俺を選べるわけが..あっ』
しまったと言わんばかりに焦りを浮かべる。その言葉を聞いてグリムの眉が不満そうにひそめられる
グリム『はぁ~!?またアジーム家なんだゾ!?』
『ユウ..どういうこと?』
ユウ『..つまり、カリム先輩が寮長になったのはお家のおかげってこと』
『それは..ダメ、だね』