第39章 *苛烈マーチ*
スカラビア寮生C『こんなことになる前は、俺たち全員寮長のことを尊敬してたんだ。どの寮長よりも素晴らしい寮長だと思ってた』
本当にカリムを尊敬しているというのが俯いた顔からでも瞳の輝きで痛いほど伝わってくる
そんな彼らの気持ちを一番よく理解しているジャミルは誰よりも今の現状に心を痛め、顔をしかめて切なげに声を落とす
ジャミル『そう、カリムは本当に良い寮長だ。誰とでも分け隔てなく接し、偉ぶることもない。ああ、何でこんなことになってしまったんだ..』
『シロさんは良い人なのは分かる..だからみんな責めれないんだね』
グリム『あのよー。カリムのやつ、医者にでも見てもらった方がいいんじゃねーか?言ってることがコロコロ変わるし、性格がまるで別人みてーになっちまうなんて、ちょっと変だろ?何か悪いものでも食っちまったんじゃねーのか?』
『..毒、とかね』
ジャミル『毒ということはないだろう。もし毒の作用なら毒味係の俺も同じ状態になってるはずだ。しかし医者か..』
『毒って口に入るものだけじゃないと思うけど(小声)』
ジャミル『今のスカラビアが抱えている問題は、つい先日までハーツラビュルが抱えていたものと似ている。ハーツラビュルも寮長の圧政に寮生たちが苦しめられていたとか..
そこで、ハーツラビュルの問題解決に活躍した君達にアドバイスをもらいたい。俺たちはどうしたら良いと思う?』
寮生に向けていた視線をユウ達に変えると、寮生達の視線も自然と集まる。大勢の視線に少し怯えながらユウに寄り添うレイラの腕の中から、グリムはあることを提案した
グリム『ジャミルがカリムに決闘を挑んで寮長になっちまうのはどうだ?』
ユウ『リドル先輩のときはエースとデュースが挑んだんだよね』
グリム『ま、あいつらポンコツ過ぎて歯が立たなかったんだけどな。カリムはリドルと違ってユニーク魔法も大したことねーし、楽勝な気がするんだゾ!』
ジャミル『ーーーそれだけは、絶対に出来ない』