第39章 *苛烈マーチ*
ジャミル『それは..あいつが"カリム・アルアジーム"だからだ』
ユウ『主従だからですか..?』
ジャミル『それも理由の1つではある..今日の夜、少し話をしよう。カリムには気づかれないように俺が手を打っておく。ユウ達も時間をくれないか』
ジャミルの問いかけに、スカラビア寮生もユウ達も静かに頷いた
その日の夜
スカラビア寮・談話室
午後の特訓も終えてカリムが部屋に戻ったのを見計らい、寮生とユウ達は談話室に再集合していた
ザワザワと寮生達が不満の声や疲労の声を口々に述べていると、奥からジャミルが現れて談話室をグルリと周りを見渡す
ジャミル『..みんな、集まってるか?』
スカラビア寮生A『はい..カリム寮長は?』
ジャミル『寝たよ。安眠効果のあるハーブティーを煎じたからいつもより深く眠っているはずだ』
グリム『..で?なんなんだゾ?オレ様たちに話って。もうオレ様、ヘトヘト..一刻も早く寝かせてほしいんだゾ。おいレイラ、お前の腕に乗せろ』
『抱っこしてほしいの?いいよ..はい』
膝を肉球で叩いてせがむグリムを優しく抱き抱えると、胸に顔を埋めてスリスリと甘え始める
『『『(う、羨ましい..)』』』
談話室の男ども全員の意見が一致した瞬間だった
ジャミル『..ごほん!..本題に入ろう。お前達がカリムのやり方に不満があるのは分かってる。冬休みに寮生たちを寮に縛り付け、朝から晩まで過酷な特訓。不満を持たないやつはいないだろう。俺もカリムのやり方が正しいとは思ってない』
スカラビア寮生A『じゃあ何故止めないんです!?』
ジャミル『止めたさ、何度も。聞く耳を持ってくれなかったけどな』
グリム『お前ら、そんなにブーブー言うなら、ジャミルじゃなくてカリムに直接文句言ってやればいいんだゾ』
『『『それは..その..』』』
グリムの指摘に、口をモゴモゴさせながら言いづらそうにし始める寮生たちにユウたちは気になって首をかしげる
『..シロさんには言えないの?』
グリム『けっ、意気地がねぇやつらなんだゾ』
スカラビア寮生A『ち、違う!俺たちだって言おうとしたさ、何度も!』
スカラビア寮生B『でも、様子がおかしくないときの寮長は本当に大らかで、優しい良い人で..』