第39章 *苛烈マーチ*
スプーンを受けとるとレイラはグリムと同様ザクザクと穴を掘り始めた
ザクザクザクザク..
ユウ『レイラスゴい。掘るの速いし上手いね』
『ウサギは穴掘る生き物だからね..なんか楽しい』
耳をピコピコ楽しそうに動かしながら掘るスピードを上げていると、見張りをしていたグリムがピンと警戒するように立ち上がる
グリム『やべっ!見張りが来た!寝てるフリするんだゾ!』
ガタガタと3人でベッドに急いで潜り込むと、見張りは確認のために空き室の鍵を開けて、ユウ達がベッドで寝ていることを確認すると再び鍵をかけて去っていった
グリム『..あっぶねぇ~..上手く誤魔化せたみたいだな』
『ユウ..もう大丈夫だよ』
抱き締められる腕の中から少し苦しげな声でポンポンと叩くと、ユウは慌てて体を離して起き上がる
ユウ『ご、ごめん..必死だったからつい勢いよく抱きついちゃった』
『いいよ。ユウにならいつでもギュッてされても』
ユウ『はぁ..もう可愛い』
グリム『お前たちイチャついてる暇あったら作業再開するんだゾ!』
『『は~い』』
チュンチュンと鳥の鳴く声が聞こえ、外はいつのまにか朝を迎えていた
グリム『朝までかかって、やっとオレ様の両腕が通るくらいの穴が掘れたんだゾ』
ユウ『脱獄は一日にしてならず..ってところだね。二人ともお疲れ様』
『ぅ~..途中から固くて掘りづらかった』
ふて腐れるように頬を膨らませていると、スカラビア寮生が勢いよく部屋に入り、今日も東のオアシスへの行進をするからと部屋から出される
カリム『寝ぼけた顔をするな!気を引き締めろ!』
『今日もシロさんは怒ってる..』
ユウ『眠いし暑いしでしんどいなぁ..』
ジャミル『レイラ、体調はどうだ?今日もツラい道のりになるが頑張れるか?』
『ヘビさんおはよ。ん、大丈夫。何とか着いてくように頑張るから』
ジャミル『そうか..無理だけはするな』
昨日と変わらず太陽が直接照りつける中、行進は砂漠の中を進んでいく。昨日の疲れもあってかその足取りは重く、それを象の上から見ていたカリムに激を飛ばされる