第39章 *苛烈マーチ*
『ん..それのおかげで大事な人を助けられたけど、それでも疲れちゃって..その度に周りの人達に迷惑をかけてる』
悲しそうに目を伏せると頭に温かい感触が乗り、見上げると優しい眼差しでゆっくりと撫でられていた
ジャミル『少なくともユウ達は君に迷惑をかけられているだなんて思っていないとオレは思う。それに、落ち込んでいてはそれこそ体に毒だぞ?』
『ヘビさん..』
ジャミル『ユウ達は早く君の元気な姿と笑顔を見たいだろう。俺も君の笑顔が見たいな..』
『..優しいね、ヘビさんは..ねぇ、どうしてそんなに優しくしてくれるの?今朝も..今も..』
ジャミル『...』
穢れのない瞳に真っ直ぐ見上げられ、ジャミルは一瞬言葉を詰まらせた。それは彼女の問いの答えが決して誉められたものではないからだと分かっているからだ
ジャミル『..君は女の子だろう?それも小さくて、』
『弱く見える..?』
ジャミル『..そうじゃない。決して君を軟弱なやつだと思っているわけではなく、何だか君は..見ていると無性に守りたくなってしまうんだ..』
ジャミルの言葉が小さな空き室で静かに溶けていく。レイラは一度目を閉じて、そっと煌めく紅い瞳でジャミルの漆黒の瞳を見つめる
『ヘビさん..何か企んでない?』
ジャミル『!!..いきなりどうしたんだ?』
『ヘビさんの言葉が嘘って言ってる訳じゃないの..でも目の奥に別の何かを考えている様に見えて..』
ジャミル『別の、何か..』
『..シロさんが変になっちゃった理由も、ヘビさんだけが知ってることとか..あるんじゃないのかな..』
ジャミル『..いや。俺は期末テストやマジフトの結果がカリムをああまでさせてしまったとしか..』
『...そう..』
ジャミル『..俺が信用できないか?』
『分からない..私の勘違いかもしれない。ごめん、気にしな..ヘビさん?』
ギシッとベッドのスプリングが音を立てジャミルは体を乗り上げると、レイラの頬に手を添えて額を合わせる
ジャミル『すぐには無理だろうが、どうか信じて欲しい。俺を..俺の言うことを..』
『ぁ..』
ジャミル『俺に協力してくれ..計画を成功させるために』