第39章 *苛烈マーチ*
ジャミル『あまりのんびりしていると陽が高くなる。気温が高くなるとその分キツくなるぞ』
カリム『それもそうか。よーしお前ら、寮へ戻って朝食だ!帰り道も頑張ろうぜ』
その後のカリムは特に行きの時のような冷徹な態度は見せず、疲れた寮生が出た際には適度に休憩を挟みながら、寮への道を進んでいった
スカラビア寮・談話室
朝の行進の疲れもあってか、全員ガツガツと朝食を勢いよく食べ進めていた
相変わらずカリムはグリムの口に青カビチーズの乗ったクラッカーを食べさせ楽しそうに笑っていて、それを横からジャミルがたしなめるという平和その物のような時間が流れていた
『むぐむぐ..』
ユウ『体は大丈夫?無理しちゃダメだからね』
『ん..』
ジャミル『レイラ、ユウ、大丈夫か?』
ユウ『僕はなんとか..でもやっぱりレイラが心配で。顔色もまだ少し悪そう..』
ジャミル『確かにまだ顔色が悪い..カリムに頼んで午後は休ませてもらうように俺から言っておこう。言うことを聞いてくれるか分からないが..』
『ありがと..』
そんな事を話していると、カリムがデザートに昨日食べることが出来なかったアイスを持ってくる、と席を立とうとした
ジャミル『!カリム、待て。俺が用意してくるから、お前は座ってろ』
カリム『いいって。アイスの用意なんか、冷蔵庫から出してくるだけだろ?』
ジャミル『馬鹿、主人に給仕させる従者がどこにいるんだ。お前はもう少しアジーム家の後継としての自覚を持ってくれ。お前にそんな事をさせたと知れたら、俺が父さん達に叱られる』
カリム『ジャミルは本当に真面目だなあ。いいじゃないか、今は同じ学園の学生同士だろ?』
ジャミル『..はぁ、それじゃあ、俺が皿に盛り付けるから、運ぶのを手伝ってくれるか?』
譲ろうとしないカリムに流石に折れたのか、ジャミルはため息1つ吐くと、カリムを連れて談話室を出ていった
グリム『..オレ様、いよいよ混乱してきたんだゾ。今のカリムは人の話しを聞かないけど、悪いやつじゃねぇ気がするんだゾ』
ユウ『うん。なんか最初に会った時みたいに優しいよね』
『...』