第39章 *苛烈マーチ*
カリム『レイラ大丈夫か?水だけで良いなら、渇いたオアシスをたっぷり満たすくらい出してやれるぜ』
心配して様子を見に来たカリムが駆け寄ると、隣に腰かけるとそっとレイラを撫でる。その瞳は間違いなくいつもの優しいカリムのものだった
『ありがとシロさん..これって、シロさんのユニーク魔法?』
カリム『ああ!オレのユニーク魔法、"枯れない恵み(オアシス・メイカー)"は..少しの魔力で美味しい水を沢山作り出すことが出来るんだ』
グリム『なんか..水がいっぱい出る魔法って、ユニーク魔法にしてはメッチャ地味なんだゾ。水が出せる魔法士は他にも沢山いるし..』
カリム『そう言ってくれるなよ。少しの魔力でいっぱい出るってのが、オレの"枯れない恵み(オアシス・メイカー)"のウリなんだ。
水道が普及してない時代なら、水汲みや加熱殺菌しなくて良い水がいくらでも出るなんて、すっげー重宝されてたと思うんだがなぁ。
ま、お前の言うとおり、水道が普及した時代じゃあんまり役に立たない魔法なんだけどさ』
あっはっは!と笑い飛ばすカリムの手を、レイラはそっと取って目を合わせる
『でもこの美味しい水のおかげで私もみんなも助かった。シロさんのユニーク魔法..素敵な魔法だよ』
カリム『っ..//あ、ありがとな!オレも、この魔法で生み出す水は世界一美味いって自信があるぜ』
グリム『そう言われてみれば..確かに、お腹に優しい冷たさでありながら、決してぬるくない。新鮮な湧き水のように口当たりまろやかで、ゴクゴクいけるお水なんだゾ』
食レポのような感想にジャミルは"モンスターに味の違いがわかるのか?"と投げ掛けると、グリムが毛を逆立てて抗議し始め、その様子にカリムがニコニコとクラッカーを食べさせようとした
『ユウもお水飲んだ?』
ユウ『うん、ちゃんと飲んだよ。それにしても..カリム先輩』
『ユウも気づいた?優しいシロさんに戻ってる..』
カリム『ん?なんだユウ、何か言ったか?』
ユウ『あ、いや別に..』
ジャミル『..カリム、15分休憩がもう終わる。皆を集合させて寮へ戻ろう』
カリム『もう?もう少し休んでいっても良いじゃないか』