第39章 *苛烈マーチ*
スカラビア寮・東のオアシス
カリム『..全体、止まれ!』
あともう少しで倒れそうというところで、ようやくパレードの一団は目的地に到着した
ユウ『この光景..夢で見たことがあるような..』
グリム『や、やっとオアシスに着いたんだゾ?』
ジャミル『これより15分の休憩をとる。その後、また寮に向かい行進だ』
ようやくの休憩に寮生はヘトヘトの体を休めるために全員その場に座り込んだ
ジャミル『ユウ、レイラはひとまずここで休ませるぞ』
ジャミルが抱えていたレイラを木の影に寝かせると、ユウは慌てて周りを見渡し始める
ユウ『早く水分を取らせてあげないと..!』
グリム『水..水..って、このオアシス、水が全部干上がっちまってるんだゾ!』
辺りは枯木と、かつて水があったであろう窪みだけで癒しとなるものは何一つない
カリム『みず..水..水がほしいのか?』
グリム『当たり前なんだゾ!もう喉がカラカラだぁ..』
カリム『なら、オレがよく冷えた美味い水を飲ませてやるよ!』
水と聞いて、先程まで冷徹だったカリムの瞳に優しさの色が戻る。ニコニコと笑いながら手を空に高く掲げると魔法の詠唱を始める
カリム『熱砂の憩い、終わらぬ宴、歌え、踊れ!
"枯れない恵み!(オアシス・メイカー!)"』
キラリとカリムの手に集まった光が空へと放たれると、上空から雨雲もないのにザアァと雨が降り注いだ
グリム『うわ~~!!恵みの雨なんだゾ~~!』
雨だというのにその水はまるで飲み水の様に美味しく、寮生たちは雨を全身に浴びながら、手で受け溜めたそれを飲みながら喜びの声をあげる
ジャミル『ユウ、この水をレイラに飲ませてやると良い』
ユウ『はい!..レイラ、ゆっくり飲むんだよ』
寮生同様、手を受け皿にして水を貯めるとそっと口元に近づける。レイラはジャミルに体を支えてもらいながら、ユウの手から水をゆっくりと飲み干した
『..はぁ..美味し..』
ユウ『良かった..もっと飲む?』
『ん..』