第39章 *苛烈マーチ*
その日の夢は、砂漠からきらびやかな王宮へと変わっていた。砂漠の時にもいた男は、王の娘である姫との結婚を承諾させようと、王に蛇の形をした杖を向ける。すると、外から軽快な音楽と共に謎の王子が巨大な象に乗りながら、パレードを従えて王宮へと向かってきていた
次の朝
スカラビア寮・空き室
ユウ『王様と大臣?それに..砂漠をパレードする夢?』
うっすらと目を覚ましながら体を起こすと、外は朝陽が射し込み少しだけ気温が熱い状態だった
グリムがいつものように寝言をムニャムニャと言っていると、部屋の鍵が外される音が聞こえたかと思うと、バンッ!!と勢いよくドアが開け放たれる
スカラビア寮生A『お前たち、いつまで寝ている気だ!起きろ!』
グリム『ふがっ!?なんだ?..って、まだ朝の6時なんだゾ』
スカラビア寮生A『これより、東のオアシスに向けて10キロの行進を行う!』
グリム『足場の悪い砂漠を10キロも?何でオレ様たちがそんなことしなきゃいけねぇんだゾ』
まだ眠気眼のまま、グリムは顔をしかめて布団に潜ろうとするが、つかつかと歩み寄ってきた寮生にまた首根っこを掴まれ無理矢理引きずり出された
スカラビア寮生A『つべこべ言うな。お前たちも参加せよと寮長が仰せだからだ!来い!』
グリム『ふぎゃ~!やだやだ~~離すんだゾ~~!』
スカラビア寮生A『お前たち二人も早く来い!』
ユウ『..は、は~い..』
『眠い..』
スカラビア寮の外の砂漠では、既に行進の準備が出来ていて、カリムはその中心で象の上に乗りながら声を張り上げていた
カリム『それでは今から、東のオアシスに向けて行進を開始する!これは足腰を鍛える訓練だ!隊列を乱したやつは、後で折檻だからな!』
『シロさん、また昨日みたいに怒ってる..』
ユウ『朝早いとはいえ既に結構暑いのに..』
グリム『うぅ~..なんでオレ様がこんな目に..』
カリム『口じゃなく足を動かせ。さあ、出発だ!』
カリムの号令でパレードは行進を開始した。しかし、それはパレードとは名ばかりのツラく苦しい行進でしかなかった