第38章 *邂逅スパイシー*
追え追え~!!!という怒号と鳴り響く警報音に満ちる廊下を駆け抜け、何度も隠れたり魔法で対抗しながら逃げ来たが、ついには寮生の手が届きその場で取り押されられてしまった
スカラビア寮生A『大人しくお縄につけ、灰色のドブネズミめ!』
グリム『オレ様は灰色だけどドブネズミじゃねぇ!離せ~~!!』
ユウ『離してください!..レイラっ!』
『ゃ..っ..離し..痛っ..』
スカラビア寮生B『ええい、暴れるな!早く部屋に戻るんだ!』
無理矢理押さえつけられながら、ユウたちは再び元の空き室へと戻されてしまった
ヒラリと頭に飾られた花から花弁が静かに落ちた
スカラビア寮・空き室
スカラビア寮生A『さっさと部屋に入れ!手こずらせやがって』
首根っこを掴まれたグリムは部屋に放り投げられ、ユウとレイラも勢いよく背を押されて倒れ込むように部屋に入れられた
ドアを閉められ重厚な鍵がかけられた音が無機質に響き、寮生たちの足音は遠ざかっていった
グリム『こら~~っ出せ~~!!ドアがびくともしねぇ。鍵をかけられちまったんだゾ』
ユウ『レイラ大丈夫!?』
『ぅっ..ユウ..怖かったよ..っ』
ブルブルと震えながら涙を流すレイラを強く抱き締めると、すがり付くように抱き締め返される。ユウは安心させるように優しく撫でながら、深くため息をついた
ユウ『楽園が牢獄に早変わりだ..これじゃまるで囚人だよ』
グリム『これが客に対する態度か!?朝になったらジャミルに文句言ってやる!』
プンプンと怒りを露にするグリムだったが、なにかを思い出してユウの袖を引っ張る
グリム『そうだ、ユウ。学園長にすまほ?って便利なアイテムをもらったんだろ?それであいつにスカラビアのことチクってやるんだゾ!』
ユウ『なるほど..確かに』
そう言ってクロウリーから貰った黒のスマホを取り出して、電話帳からクロウリーの番号に着信をかける
RRRRRR...
数コールの後、電話越しからクロウリーの声が聞こえ、早速グリムが抗議の声をあげたが、すぐに留守電用に収録された音声だということが分かり、結局本人には繋がらないまま通話は終わった
グリム『こういう時に連絡がとれないんじゃ、意味ねーじゃねーか!!』