第38章 *邂逅スパイシー*
カリム『そう。話すより乗ってみた方が早い。もうすぐ日暮れだし、夜空の散歩と洒落こもうぜ!さあ、お前たちも乗った乗った!』
グリム『ええ?これ、本当に落ちたりしねぇのか?』
安全性を疑い躊躇するグリムが恐る恐る聞くが、カリムはニコニコしなから我先へと絨毯に飛び乗り、ユウ達に手を伸ばす
カリム『大丈夫だって、オレを信じろ』
ユウ『え、あ、はい..うわっ!』
カリム『ほら、レイラも手を出せよ!』
『ん..っとと』
カリムの伸ばした手を掴むとグイッと力強く引き寄せられ、カリムの胸に飛び込む形となって絨毯に乗り上げる
カリム『さあ行くぞ、それっ!』
カリム達を乗せた絨毯は倉庫を飛び出し、勢いよくスカラビアの上空へと上昇していった
上空
絨毯は雲さえも突き抜け、目の前は漆黒の夜空に星が幾重にも散らばり、丸く大きな蒼月がぽっかりと浮かぶ幻想的な光景が広がっていた
グリム『う、うわーーー!本当に空を飛んでるんだゾ!高さで目が眩みそうだ!寮がもうあんなに小さい』
カリム『どうだ?雲の上は別世界だろ?』
ユウ『見たことない新しい世界だ..!』
カリム『レイラ、もう目を開けても大丈夫だ。お前も見てみろよ!』
上昇の勢いにずっとカリムにしがみついていたレイラは、カリムの優しい声と撫でられる感触に恐る恐る目を開くと、飛び込んできた光景に目を奪われた
『わぁ..凄い..キレイ..お星さまがダイヤモンドみたい』
カリム『あははっ、気に入ったか?』
グリム『最高なんだゾ~~!』
カリム『空を自由に飛び回るのって、いいよな。小さい悩みなんか全部どうでもよくなる。ジャミルにはいつも"お前は色々気にしなさすぎだ"って言われるけど..あいつも、もう少し気楽に生きれれば良いのにな..』
『シロさん..』
憂いの瞳で夜空を見上げるカリムを腕の中から心配そうに見あげると、その視線に気づいたカリムは普段と変わらない笑顔で見つめ返す
カリム『そんな顔するなよ!お前たちには楽しんでもらいたいんだ!』
『あわわ..』