第38章 *邂逅スパイシー*
手を振りながらある部屋の前でユウたちを待っているカリムの元へ行くと、大きな扉をギイッと開けて中に通される
スカラビア寮・物置
そこには黄金が一面に広がり、眩しいほどの輝きを放っていた。見渡す限りの金の財宝が無造作に置かれ、どれもこれも高値がつくものだと3人は無意識に悟った
グリム『どひゃー!なんだここ?ギラギラのお宝がいっぱいなんだゾ!』
カリム『ここにあるものは全部、家を出るときにとーちゃんが持たせてくれたんだ。でも、寮の部屋に入りきらなくてなぁ~。こうして物置に全部置かせてもらってるんだ』
グリム『物置じゃなくて、もはや宝物庫なんだゾ!』
カリム『お!難しい言葉知ってるな。偉いぞグリム。で、このお宝の山の中でもオレが一番気に入ってるのが....あれ?どこいった?』
『なくなっちゃったの?』
カリム『いや~"アイツ"たまに勝手に一人で移動するんだよな。お~い、どこいった~?』
キョロキョロと辺りを見回しながらあるものを探し始めるカリムの裏で、黄金に目が眩んだグリムがその中の1つを拝借しようとしたその時、後ろからツンツンと何かにつつかれる
グリム『ユウ、今オレ様は取り込み中なんだゾ!』
ツンツン..
グリム『もー、しつこいな。なに..ってほぎゃ~~~!!』
てっきりユウが後ろからつついているのかと思い、文句の1つでもと振り返ると、目の前にいたのはユウではなく宙に浮かぶ絨毯だった
ユウ『なに!?って..絨毯が浮いてる!』
『凄い..』
カリム『おっ、そこにいたのか。いつもの場所で丸まっててくれよ』
絨毯『♪♪』
絨毯は嬉しそうにカリムの周りを回るとピョンピョンと嬉しそうに跳ね揺れる
グリム『そいつは一体なんなんだゾ!?』
カリム『これは熱砂の国に伝わる伝統のお宝"魔法の絨毯"だ!かつて砂漠の魔術師が仕えた王が愛した空飛ぶ絨毯。こいつはそのレプリカらしい。うちに代々伝わる家宝なんだ』
グリム『空飛ぶって..箒みたいに絨毯が空を飛ぶって?』