第38章 *邂逅スパイシー*
カリム『腹いっぱいになって眠くなっちまったのか?なんかほんとに小動物みたいだな!』
ジャミル『そこのクッションに寝かせてやると良い』
ユウ『すみません..』
ユウはレイラをふかふかの大きなクッションの上に寝かせると、そっと髪を撫でつけながら改めてカリムとジャミルに何故帰らないのかを問いただした
カリム『..この間、寮対抗マジフト大会と期末テストがあっただろ?うちの寮、どっちも最下位になっちまってさ』
ジャミル『....』
カリム『それで、一念発起。寮生みんなで自主的に特訓しようぜってことになったんだ』
グリム『マジフト大会ではスタートラインにすら立てなかったオンボロ寮からしてみれば、羨ましい話なんだゾ』
カリム『そっかぁ。そりゃ残念だったな』
ジャミル『この冬休み..俺たちは毎日6時間、勉強したり魔法の実技訓練をして過ごそうと思ってる』
グリム『毎日6時間?それじゃあ、学校で授業がある時と何も変わらねぇんだゾ。ホリデーってのは、休むもんだ。宿題なんて休みが明けてからやりゃ良いんだよ..って、レオナは言ってたゾ』
ジャミル『相変わらずだな、あの人は..』
カリム『うーん。でも、言われてみれば確かにそうかもしれない。オレのとーちゃんも、"学ぶときは真剣に学び、遊ぶときは思い切り遊べ"って言ってたし..レオナの言うとおりメリハリが大切かもな』
腕を組み唸りながら考えていたカリムは、よし!と決心した顔つきで隣のジャミルを見上げた
カリム『オレは決めたぜ、ジャミル。やっぱり休暇はちゃんと取るべきだ。寮生たちを明日実家に返してやろう』
ジャミル『えっ!?』
カリム『このことは寮生たちには夕食の席で話すことにする。ジャミル、みんなに欠席しないように伝えておいてくれ』
ジャミル『あ、ああ..分かった』
カリム『そうだ、ユウたちにスカラビアを案内してやるよ。見せたいものがあるんだ』
ジャミル『こら、カリム!寮生には勉強させておいてお前が遊んでいたら示しがつかないだろう』
ジャミルは諭すように止めるが、"折角の客人なんだから"とカリムは譲ろうとはしなかった。だがジャミルの強い瞳に根負けして、日課である防衛魔法の試合を始めた