第38章 *邂逅スパイシー*
先ほどのしかめた顔から、あの日に会ったような年相応の白い歯を見せてにっかりと快活な笑みにガラリと変わる
カリム『よお、お三方。よく来たな!出迎えのパレードもなくて悪い!オレはスカラビアの寮長、カリム・アルアジームだ。初めまして、だよな?』
ジャミル『いいや、彼らとは初対面じゃない。お前は入学式でグリムに尻を焦がされたし、マジフト大会の前にも食堂で話をしたぞ』
カリム『あれっ?そうだったか?あっはっは、悪い悪い。オレ、あんまり人の顔覚えるの得意じゃねぇんだよな~。気を悪くしないでくれ。そんじゃ、改めまして。お前ら、これからよろしくな!』
ユウ『よろしくお願いします。...今までの寮長とかなりタイプが違うね..』
『良い人っぽい』
カリム『今日の料理も美味そうだ。出来映えはどうだ?ジャミル』
並べられた料理をキラキラした目で順に見つめながら尋ねると、ジャミルからとんでもない爆弾が投下された
ジャミル『いつも通りさ。どの大皿にも危ないものは入ってないから、安心して食べていい。毒味も済んでる』
グリム『むがっ!毒味!?』
ジャミル『カリムは熱砂の国有数の大富豪の跡取りなんだ。命を狙われることも少なくないから、毒味は必須でね』
カリム『いつも大袈裟なんだよ、ジャミルは。食事に毒物混入なんて..四年前に二週間昏睡状態になったのを最後に、最近はパッタリなくなってるし』
ジャミル『この四年はちゃんと毒味係がついたから無事だっただけだ。お前に食わせる前に毒が盛られた料理は処理してる』
グリム『おい、つまりさっきオレ様に色々食べさせてたのは、毒味だったってことか!?』
カリム『あっはっは!そんなに心配しなくても、ジャミルが作ったメシなら安心だ。ジャミルは絶対にオレに毒を盛ったりしない』
ジャミル『ふ、何を当たり前のことを言ってるんだ』
ケラケラと笑うカリムと小さな笑みを浮かべるジャミルにグリムはサァーッと血の気が引く思いで二人を見つめた
グリム『こいつら、良いやつに見せかけて今までで一番えげつねぇやつらな気がしてきたんだゾ』
カリム『そうだ、グリム。羊乳の青カビチーズはもう食べたか?クラッカーに乗せて食うと美味いんだぜ』