第38章 *邂逅スパイシー*
スカラビア寮
鏡舎をくぐり抜け、ついたそこはまるで砂漠の王国のような景色が広がっていた。カラリとした気候に照りつける太陽、寮内を流れる清らかな水。寒さに晒されたユウ達の体もその暑さにじんわりと暖まってきていた
グリム『ここがスカラビア寮か。本当にムワッと暑くて、真夏みてぇなんだゾ!』
ジャミル『冷えたからだが暖まるだろう?さぁ、こっちだ』
スカラビア寮・談話室
ジャミルに案内されたのは、広々とした空間が広がる談話室だった。窓はなく青空と新鮮な空気の入る開放的な部屋には、色とりどりのクッションやソファー、高級そうな絨毯が並べられており、椅子に座るというよりその場で座るといった様式だった
ジャミル『客人のお出ましだ!みな、歓迎の音楽を!』
パンパンと手を叩き談話室にジャミルの声が響き渡ると、寮生がぞろぞろと楽器を手に集まり始める
グリム『にゃっはっは!オレ様ほどの有名人ともなると、こんなに歓迎されちまうのか』
ジャミル『さあ、冷める前にどんどん食べてくれ』
グリム『いただきまーす!あむっ..う、美味い!口いっぱいに広がるスパイスの香り..後引く辛さ..』
絨毯の上に並べられた豪華な料理を前に素早く手をつけると、グリムは美味しそうにモグモグと食べ始めた
ジャミル『肉料理とスープもあるぞ。まだまだ沢山あるから、食べていってくれ』
ユウ『..グリム、ほんとに遠慮ないんだから..』
『..でも美味しそう』
?『..お前たち、何を騒いでいる?』
『『りょ、寮長..!!』』
ジャミル『カリム..』
『あれが例の寮長さん..?』
ユウ『もしかしなくても、怒ってる?』
ワイワイと盛り上がっていた談話室の空気が一瞬でシンと静まりかえる。談話室の奥から現れたのは、以前マジフトの件でジャミルと共にいた少年だった
カリム『どういうことだ、ジャミル。客を呼ぶなんて、オレは聞いてないぞ!』
ジャミル『カリム、これにはワケが..』
カリム『客を呼ぶときは、必ず先に報告しろと言ったはずだ!そうすれば..
もっとスゲーご馳走と音楽隊を用意できたのに~~~!!』
グリム『え?』
ユウ『ん?』
『わー』