第38章 *邂逅スパイシー*
大食堂・厨房
ホリデーで殆どの生徒がいない中、厨房では何人もの生徒がそこに立っていて、一人の青年の指示に従いながら次々と料理を作っていた
グリム『にゃんだあ?冬休みのはずなのに、生徒がいっぱいいるんだゾ!』
『美味しそう..』
ジャミル『ん?君たちは..』
『この人、マジフトのときの..』
指示を出していた青年、もといジャミルは覗き見ていたユウたちに気づくと、他の生徒からユウ達の方へ目を向けるとそっと歩み寄ってくる
サッとユウの背中へ隠れながらレイラが呟くと、ユウも思い出したように軽く会釈して挨拶した
ユウ『こんにちは』
ジャミル『ああ。マジフト大会前に怪我をしたとき少し話をしたな。君たちは確か..ユウとグリム。そして..レイラ、だったか?』
グリム『物覚えがいいやつなんだゾ!お前の名前は、ええっと..』
ジャミル『ジャミルだ。ジャミル・バイパー。スカラビアの副寮長をしてる。俺は昔から人の顔と名前を覚えるのは得意でね。それに、君らは入学式以来とにかく目立つからな。この学園で君らの名前を知らないやつはいないんじゃないか?』
グリム『えっ、そ、そうか?にゃっはっはっは!オレ様たちも名前が売れたもんだな!』
ジャミルの言葉を"良い意味で目立っている"と思ったグリムは上機嫌にその場で小躍りした
ジャミル『特に君は二重の意味で目立つからな』
チラリとユウの背に隠れながら顔だけ覗かせるレイラに笑いかけるが、本人は不安げに瞳を揺らしながらジャミルを見つめる
ジャミル『??もしかして怖がらせてるか?』
ユウ『あ、大丈夫です。すみません、この子人見知りな所あって..』
ジャミル『そうなのか、すまないな。ところで..君達は冬休みなのに何故学園に?』
グリム『レイラは違ぇけど、オレ様たちには帰れる実家なんてねぇからな。それに学園長から暖炉の火の番という大役を任されてるんだゾ』
オレ様有能だからな~!と胸を張りながら自慢すると、ジャミルは薄ら笑みを浮かべて小声で何かをブツブツと呟いていると、調理を経過をスカラビアの寮生が伝えにきた
グリム『このスープ、美味そうだけど嗅いだことない匂いがするんだゾ』