第38章 *邂逅スパイシー*
オンボロ寮
鏡の間からオンボロ寮へと戻ると、目の前は一面の銀世界へと変化していて、辺りには真っ白な新雪がまるで絨毯のようにキレイに敷かれていた
グリム『わー、見てみろユウ、レイラ!雪が積もってるんだゾ!』
ユウ『どうりで冷えると思った..』
『は~...息真っ白だ..ぁぅ、寒い..』
グリム『仕方のねぇやつだ。ほれ、オレ様を抱き締めて良いんだゾ』
白い息を吐きながら寒さに体を震わせるレイラの腕に飛び込みフワフワの暖かな体毛を首に擦り付けると、その温もりにふにゃっと表情が緩む
『グリムあったかい..フワフワ..』
ユウ『こんなに寒いと火の妖精たちが心配だね』
グリム『そいつらも震えてるかもしれねぇな。薪を持っていってやるか。ついでにキッチンに何か食い物がないか漁ってやるんだゾ』
ユウ『こら』
『でも私もちょっとお腹空いた』
ユウ『よし漁ろう』
グリム『お前な..』
大食堂
薪を抱えながら大食堂につくと外よりかは多少暖かいものの、今にも切れそうな暖炉の薪を見つけ、グリムは薪をもつユウに早く入れるように急かした
ガラガラと薪を暖炉に入れ込むと、どこからか全身赤い炎を纏った火の妖精が現れ辺りを徐々に暖め始めた
グリム『ほぁ..お前たちが暖炉に住み着いてる火の妖精か。側に寄ると毛皮の芯まであったまるんだゾ』
ユウ『あったかいね..レイラ、どう?』
『ん、あったかいよ。火の妖精さん、ホリデー中はよろしくね』
すると火の妖精はニッコリと笑いながら暖める速度を早めて大食堂全体を暖めていく
ジュー、トントン
広い大食堂に調理の音が響き渡り、グリムたちはその音に耳をそばたてた
『誰かいる?良い匂いする..お肉の焼ける匂いだね』
グリム『更に、スパイシーでいて食欲を刺激する異国の香りが漂ってきたんだゾ!』
ユウ『あれはキッチンからかな?』
グリム『行ってみようぜユウ、レイラ!』