第37章 *スカラビア寮編~熱砂の策謀家~到来ホリデー*
その日のユウの夢は乾いた砂漠が眼前に広がっていた。馬にまたがり誰かを待つ人影。やがて現れた小さな男から受け取った黄金色に輝く虫の金属片を合わせると、それは彼方へと飛び去り、やがて着陸した砂地から大きな洞窟を生み出した
ユウ『今度は砂漠の夢..?』
『っ..ん...』
ユウ『レイラ、おはよう』
『おはよ、ユウ』
ユウ『悪夢のせいか少し顔色が悪いね。無理しちゃダメだよ』
『大丈夫..学校行く準備、しよ?』
オンボロ寮・廊下
ユウ『ふあ~ぁ..にしても、ここ最近色んな寮での事件がありすぎて色々疲れちゃうね』
『ん。でもおかげで色んな人に会えたり知れたりするから..そんなに悪くないよ』
ユウ『レイラは強いなぁ..』
ゴーストA『おやユウ。寝ぼけた顔してどうしたぃ』
最近の疲れに目に見えて眠そうなユウに、壁をすり抜けてゴーストたちが興味深そうに寄ってきた
『おはよゴーストさんたち』
ゴーストA『おはようレイラ。お前さんも疲れてるな』
ゴーストB『まるであの世でも見てきたような顔じゃないか。ひっひっひ』
ゴーストC『今日は秋学期の締めくくりの日じゃ。最後に大ポカやらかさんように気を引き締めて行くんじゃぞ』
ゴーストA『そうだ、明日から学園はウインターホリデーだ。君らはどうやって過ごすのか決めたのかい?』
ウインターホリデーという聞きなれない単語にユウとグリムは小首を傾げた
グリム『んん?"ういんたーほりでー"って何なんだゾ?』
ユウ『レイラは知ってる?』
『ん、知ってるよ。家族と年越しするためにみんなおうちに帰るための長いお休み』
ゴーストA『そうそう!ご馳走を囲んでねぇ』
ご馳走と聞いて途端に耳をピンと立てながら、グリムはゴーストたちの口からでる聞いただけで腹が空くようなご馳走に妄想を膨らましていた
ユウ『冬休みみたいなものか..そういえば、グリムの家族は?』
グリム『オレ様の家族..?うーん、よく覚えてねぇんだゾ。気がついたら一人で腹減らしてた気がする。すげー寒くて、ずっと誰かが迎えに来るのを待ってたような..』
その後は覚えていない、と特に気にしていない様子でグリムは言ってのけた