第37章 *スカラビア寮編~熱砂の策謀家~到来ホリデー*
ある日の夜
オンボロ寮
『...っ..は..ぁ"ぅ..っ..』
ユウ『レイラ..』
ユウとグリムは隣で苦しげに魘されるレイラの髪を撫でながら心配そうに顔をしかめていた
グリム『..また魘されてるんだゾ』
ユウ『オクタヴィネルの件の後、ここのところ毎日だね。きっと酷い悪夢を見てるんだ』
『ぅっ..ぁっ..やめ、て..っ..ごめんなさ..っ..』
涙を流しながら何度も"ごめんなさい"と謝る姿が痛々しく、ユウとグリムは胸を痛む思いに満ちていた
グリム『起こした方がいいんだゾ。オレ様、レイラのこんなツラい顔見たくねぇ..』
ユウ『そうだね、僕も見たくない。..レイラ、起きて..』
『..っは..!はぁっ..ユウ、グリム..?』
軽く肩を揺さぶって起こすと、レイラはビクッと体を跳ねさせながら目を覚まし、心配そうに見下ろす二人を交互に見つめながら上半身を起こした
『私..っ、ごめ..また..』
ユウ『大丈夫だよ..またいつもの夢?』
『ん..』
グリム『内容は言ってくれねぇのか?』
『ごめん..口にしようとしたら怖くなっちゃって』
ガタガタと震え、片腕にグリムを抱えたままユウに凭れるように肩口に頭をのせ静かに泣きはじめる
『っ..ぅ...ぁっ..』
ユウ『レイラ..』
ユウは少しでも楽になればと震える体を抱き締め、そっと唇に何度もキスをし、グリムもレイラの腹に抱きつき、ポンポンとあやすように腰を叩いた
『ん..すー..』
グリム『泣き疲れて眠ったんだゾ..』
ユウ『そうみたいだね..よいしょっと』
ユウはそっとレイラをベッドに寝かせると自分も横になり、そっと優しく抱き締めた
ユウ『..この子に、何が起きてるんだろう』
グリム『こいつを苦しめる悪夢..もしかして、例の黒ウサギのやつの仕業かもしれねぇんだゾ』
ユウ『うん、僕もそう思うよ。きっと中から悪夢を見せてるんだ。あれは一体何がしたいんだ..』
グリム『..仕方ねぇからオレ様今日は、こいつの腕の中にいてやるんだゾ』
ユウ『グリム...うん、そうしてあげて。少しでもレイラが楽になれるように..』