第36章 *閑話カームデイ7 ~アズール~* 注:裏表現
ゴー!とドライヤーの音と共に彼女の長い髪を鋤くように指を滑らせると、殆ど乾いた艶々とした美しい黒髪が心地よく指を間をすり抜ける
よく手入れされている..これも毎日ユウさんがやっているのだろうか。だとしたら称賛しますが、僕としては羨ましい限りですね..
毛先まで乾いたのを確認すると、彼女の持ってきたお気に入りのブラシで優しく整え、ドライヤーの電源を切った
アズール『出来ましたよ』
『ありがとアズさん。サラサラだ..』
アズール『元からサラサラでしたよ。これを毎日触れられるユウさんが羨ましいですね』
『いつも優しく乾かしてくれるの。でも、アズさんのドライヤーも優しくて気持ちよかった。頭なでなでされてるみたいで』
アズール『撫でられるのはお好きなんですか?』
『ん。ハグされるのもなでなでされるのも好き。でも..それは好きな人にされるのがいい。他の人に触られそうになると..怖くなる』
アズール『..僕に触れられるのは..怖くありませんか?』
『怖くないよ。アズさんのこと好きだから』
アズール『っ..ありがとう、ございます..//』
"好き"..貴女のその言葉に何人の男が心を揺らし、乱されると思ってるんですか..
しかもそんな優しい微笑みを浮かべたまま言われては..あぁ、鼓動がひどく高鳴って彼女に聞こえてないだろうか
『あ..思い出した。私、ずっとアズさんに聞きたかったことがあるの』
アズール『何です?』
『この前の話で思ったんだけど、どうしてアズさんたちは私が欲しいって言ったの?』
アズール『!!』
い、今それを聞かれますか..?何というタイミング。いや、これは寧ろ彼女に気持ちを伝えるチャンスなのでは?
彼女は僕の返事を待つような表情で耳を揺らしながら見ている。逃げることは出来なさそうです
アズール『..では..前に貴女が言ってくれた、"互いを知るためのお話し合い"をしましょうか』
『ん。私も自分のことちゃんと話すね』
アズール『では紅茶でも淹れましょう..』