第6章 *不本意トラベル*
〔エース〕
一瞬だった...
不意を突かれて、バケモノの振り降ろした拳で吹っ飛ぶはずだったオレの体はなんともなくて
代わりにレイラがそれを受けて、オレの真横を通って後ろに吹き飛ばされた
ハッと気がついて急いでアイツの所へ駆け寄った。他の奴等も急いでこっちに駆け寄ってきた
エース『は...?おい...レイラ...?おいっ!しっかりしろ!レイラっ!!』
倒れて動かないレイラを抱き起こして必死に呼び掛ける
もしこのまま動かなかったら...目を開けなかったら...っ
最悪の展開を想像して心臓が激しく鼓動する
『っ....あ...ハー...トくん...』
エース『っ!!良、かった...っ』
ユウ『レイラっ!大丈夫!?』
『ん...っ...痛っ...!』
デュース『!!腕と膝が!』
よく見てみるとレイラの右腕と左膝から、出血しているのが分かった
『へ...き...飛ばされた、時に...擦った、だけ..っぅぅぅぅ...っ』
じわじわと目に涙が溜まり、今にも泣きそうになるレイラ。だけど、すぐにそれを振り払うように、首をブンブンと横に振る
『な...泣かない...っ』
エース『え?』
『泣いたら...ぅっ...またハートくんに...泣き虫って、言われる...っだから泣かない...っ』
エース『っ...』
その瞬間、オレの中に色んな感情が押し寄せてきた
庇ってくれて助かった
レイラが軽傷ですんで良かった
でも怪我をさせてしまって悔しい
泣きたいのを我慢して頑張った
オレの言葉を意識してくれて嬉しい
そして、レイラを泣かせた後ろのバケモノへの怒り
エース『ユウ...レイラを頼む』
ユウ『分かった...』
ユウにレイラを託して、俺達はゆっくりと立ち上がり、また襲いかかってきそうなバケモノを睨み付けた
デュース『この野郎...覚悟できてんのか』
エース『ぜってぇ許さねぇ...!』
グリム『オレ様本気で怒ったんだゾ!!』
俺達は再びペンを強く握りしめた