第34章 *閑話カームデイ5~ジャック~*
ナイトレヴンカレッジ・外庭
『ジャック..もふもふフワフワ..』
ジャック『グルル..』
今の状況を説明すると、学園の外庭に連れてこられた俺は、ユニーク魔法である月夜を破る遠吠え(アンリイッシュ・ビースト)で狼化し、レイラに背に乗られ長い毛に顔を埋められている
『ずっと触りたかった..もふもふ』
ジャック『ガウ...』
事の始まりはこの前の小テスト。いつも満点をとっているレイラに対抗心を燃やした俺は"今回の小テストは負けねぇ"と宣誓した。そうしたら、
『じゃあ勝負しよ?勝った方が負けた方の言うこと1つ聞く』
ジャック『..分かった』
ただ純粋に勝負したかっただけだったが、内容的にこれはチャンスだと思った俺はその賭けを了承した。まぁ、結果はこの状況的に分かるだろうが俺の負けだ
あいつからの命令は、"狼化した俺に触れたい"だった。あいつらしい命令だ..これがエース達とかだったら飯を奢れだの宿題見せろだの、ろくでもねぇもんだっただろうな
ジャック『ガウ..ガウ..(もう降りろ)』
『ゃ..まだ触るの』
獣人っていうのもあってか、動物言語が得意なレイラは狼化した俺の言葉を理解できるらしく、さっきからこのやり取りがかれこれ何回も続いている
つか耳くすぐってぇし、寝転がった俺の腹に顔を埋められた時には、何かよく分かんねぇけどゾワッとくるもんがあったから、正直早く離れてほしい
『まだ私のお願い続いてるんだからやめない』
ジャック『グル..』
『ふふ..狼ジャック可愛い』
男に可愛いって言うんじゃねぇよ..はぁ..
本当にこいつは他人との距離感がおかしいというか、男に対して警戒心がなさすぎる。まさか、そもそも男として見られてないのか?
とにかくもう降ろそう。さっきからこいつに抱きつかれて変な感覚が続いている。これ以上は危険だ
『...わっ..ぁぅっ』
体を揺すってレイラをなるべく優しく滑り落とすと、すぐにユニーク魔法を解いて元の姿に戻る
ジャック『もう終わりだ』
『ぇ~..まだもふもふしたかったのに』
ジャック『充分触っただろうが。つか、仮にもお前は女なんだから男にそう気安く触るんじゃねぇよ』