第33章 *終曲オクタヴィネル*
アズールはため息をつくと、小さく笑うレイラをそっと抱き締めた
『アズさん?』
アズール『...良かった..』
『え?』
アズール『貴女が元気に笑っている姿が見れて、本当に良かった..』
『心配させてごめんね』
アズール『いいえ、僕のせいなんです。あの後ユウさん達から得た話をジェイド達から全て聞きました。オーバーブロットした時のこと、そこで僕が貴女にしたこと、そして貴女自身のこと..』
『そっか..』
アズール『貴女が何を抱えているのかを聞いて..僕は怖かった。今でも僅かに残った記憶に、例の黒ウサギが見えるんです。あんな強大な力を貴女が一人抱えて..何も知らずに手に入れようとした僕を守ってくれた』
『でも結局、アズさんを傷つけちゃった..』
アズール『いいえ、傷つけたのは僕です。自分はおろか、貴女さえも傷つけて..黒ウサギの力を使わせてしまった』
アズールはレイラの胸元でブロットに半分染まって鈍く光を放つマジカルペンの宝石を悲しげに見つめる
アズール『本当に..すみませんでした』
『アズさん、泣かないで。今回もいっぱいつらい思いをしたけど、でもアズさんが無事で..みんなも無事だったんだから、それでいいよ..』
アズール『っ、貴女は優しすぎる。その優しさが、いつか貴女自身を滅ぼしてしまうかもしれません』
『大丈夫。だってもしそうなっても..アズさんが助けてくれるでしょ?』
アズール『!!』
はっと顔をあげると、腕の中でニッコリと優しい笑みで見つめるレイラに、アズールは一筋の涙を流しながら再び抱き締めた
アズール『はい..っ..』
『ふふ..今日のアズさんは泣き虫さんだね』
アズール『あ、貴女だって泣き虫でしょ..』
『むぅ..でも、そんなアズさんも好きだよ。いつものちょっと悪い感じも好きだけど』
アズール『そ、そうですか...//』
『ね、アズさんは私のこと..好き?』
誘うように耳元で囁かれ、僅かに体を離すと先程とは違う少し含みのある笑みでアズールを見上げていた
アズール『っ//...僕は...その、』
『ん?』
アズール『僕も...あ、貴女が..』
アズールは誘われるままに、震える手で肩を掴み少しずつ距離を近づけていく