第33章 *終曲オクタヴィネル*
アズール『ええ。僕のようなタコ足の人魚はこの辺りではとても珍しいので..こっそり写真を戻しに来たのに変に印象に残っても嫌ですから』
ジェイド『そんなに気にしなくても。写真に写っているまんまるおデブな人魚が貴方とは、誰も気づきませんよ』
フロイド『せっかく帰ってきたんだから、そんな不便な姿じゃなくて、元の姿に戻って泳ぎ回ればいいのに』
『ジェイさん口悪くない?』
ジェイド『おや、そうですか?』
二人の言葉にアズールは"放っておいてください"と不機嫌そうに言い放つ
アズール『じゃあ僕は写真をそっと元に戻してきますので、みなさんはどうぞ館内をご覧ください』
そう言うと、早速エース達はリーチ兄弟の案内の元館内の探検へと出掛けていった
ユウ『一人で大丈夫?』
『ん、アズさんといるもん』
ユウ『分かった..また後でね』
アズール『..貴女は行かないんですか?』
『アズさんのことちょっと心配だから..』
アズール『そうですか..』
『あとちゃんと写真を返すかどうか』
アズール『疑り深いですね、ちゃんと返しますよ』
アズールはそう言って過去の写真を元の展示場所へとそっと立てかけた
『よくできました』
アズール『...昔の写真を全て消去すれば。僕がグズでノロマなタコ野郎と馬鹿にされていた過去も消えるような気がしていたんです。海の魔女は、悪行を働いていた過去を隠すことはせず、その評判を覆す働きをして人々に認められた』
『アズさんは、その魔女さんのようになりたかったの?』
アズール『ええ。でもそう言いながら、結局過去の自分を認められず、否定し続けていただけだった』
『アズさんは他の人から能力を奪わなくても充分凄いよ。だって、クロさん..学園長を困らせるほど努力家さんだもん』
アズール『努力..僕が?ふ..勝手に美談にするのは止めていただけますか?僕はただ、僕を馬鹿にしたやつらを見返してやりたかっただけですから』
『ふふ、アズさんちょっと照れてる』
アズール『な..っ..見ないでください』
ふいっとそっぽを向くアズールの頬に赤みがさしていることを知っているレイラは、思わずクスクスと笑い始める
アズール『笑わないでください...はぁ..もう』