第32章 *抹消パスト*
突然涙をポロポロと溢しながら声をつまらせていく。堰をきったように次々に溢れる涙を止められずに、次第に声をあげて泣き始めた
『ぅぁぁぁぁっ...!ひっ..ぐ...っぇぇぇっ!』
ジェイド『相当つらかったんですね..』
ジェイドはレイラの頭を自身の胸を貸すように寄せてそっと撫で始める
フロイド『ちゃっかり良いとこ持ってかないでよ』
ジェイド『ふふ、なんのことです?』
ユウ『今は何も聞かない方が良さそうだね』
デュース『あぁ。疲れも溜まっているだろうし、そっとしておいてやろう』
ジャック『にしてもあいつ、毎度そうやってレイラに記憶を見せてんのか。一体何が目的なんだ』
ラギー『黒ウサギの力そのもの。力が人格をもって現れるなんてあるんすか?』
エース『わっかんねぇことばっかだけど、でもとにかくレイラが無事なら..』
『っ...ぐすっ...』
ジェイド『落ち着かれましたか?』
ジェイドがそっと顔を覗きこむと、目の周りを真っ赤にして小さく頷いた
『アズさんは?』
レオナ『そこで転がってるぜ。いまだにぐーすか寝てやがる』
後ろで眠っているアズールを見つけ、レイラはジェイドに支えられながら近づくと、その頬に手を添えて心配そうに見下ろす
『アズさん..』
アズール『...はっ...』
すると、弾かれるようにアズールは目を覚まし、キョロキョロと辺りを忙しなく見つめる
フロイド『あ、目ぇ覚ました』
ジェイド『アズール、この指は何本に見えますか?』
ジェイドが指をアズールの前で翳すと、小さな声で"8本.."と答えた
ジェイド『うん。まだ気が動転しているようですね。でも、良かった。何とかブロットの暴走は治まったようです』
レオナ『ったく、手こずらせやがって』
ラギー『いやいや、レオナさんがそれ言っちゃだめっしょ』
『レオさん前科あるもん』
アズール『僕は..一体、何を?』
『アズさんオーバーブロットしたんだよ』
フロイド『僕に力をくださいよぉ~~って泣きながらみんなの魔法吸い上げてさ。ちょ~ダサかった。ちょっとゲンメツ』
アズール『そ、そんな..僕が暴走するなんて..』