第31章 *動転ヒステリック*
『[ふぅん..生意気な人達だね。特にそこのハートとスペードの君ら。そしてレイラといつも一緒にいる君。僕の邪魔ばっかり...]』
君達から殺してしまおうか、と体の向きをエース達へと変えたその時、グラリとレイラの体が傾き始める
『[...やれやれ、この子もしぶといなぁ。つらい記憶を返したはずなんだけど..まぁいいや。お腹も満たされたし、今回も殺さずに返してあげる。君達、せいぜい大切に、これからも仲良くしてあげてね。]』
ニヤリと笑うとレイラの体がフッと崩れ落ち、一番近くにいたジェイドがそれを間一髪抱きとめた
ジェイド『レイラさん..っ』
エース『はぁ...何とか追っ払えたみたい』
黒ウサギの気配が消え去ったのを確認すると、エース達は脱力してその場に座り込み大きく息をはいた
デュース『今回はいつも以上に危ない雰囲気だったな。だが取り戻せて良かった』
フロイド『アズールも元に戻ってるよ。寝てるけど』
フロイドが駆け寄って抱き起こすと、アズールの体からブロットの残りがドロリと剥がれるように地面に落ちていくと、段々と姿が元の寮服へと変わっていく
レオナ『おい、レイラはどうなってる』
少し焦った様子で近づいてジェイドの腕で眠っているレイラの顔を覗きこむ
ジェイド『....大丈夫、呼吸は安定しています。恐らく気絶しているだけかと』
レオナ『...そうか』
レイラとアズールの無事を聞いて、エース達からは喜びと安堵の声があがり、全員で眠っている二人を囲むように集まった
グリム『ぅぅ~..レイラのやつ、顔色悪いんだゾ』
ユウ『闇のウサギを出しちゃったからね。それに、黒ウサギは"つらい記憶を返した"って言ってた。きっとそのせいで..』
エース『っ、何でこいつばっかり傷つかなきゃいけないんだよ..っ』
デュース『エース..』
ジェイド『すみません、その黒ウサギの事について詳しく聞かせてもらえませんか?』
フロイド『そーそー。オレら正直、話ついてけてないんだよね』
いつもの悪どい笑みではなくこれ以上ない程に真剣な眼差しで見つめるリーチ兄弟に、ユウ達は意を決して話始めた
ユウ『分かりました..』