第31章 *動転ヒステリック*
すぐに離れようとしたが、八本の足の四本が体に絡み付き身動きがとれなくなった。もがこうとすればするほど強く絡み、苦しさへと繋がる
『っ..ぅ...』
アズール『あぁ..やっと手にいれた...』
『アズさ...っ』
アズール『貴女は僕と同じ眼をしている...一人じゃ何もできない自分に嫌気がさして、何より過去を恐れている..』
頬に手を滑らせ指で唇をなぞる。今のレイラにはアズールの悲しげに濁る瞳から目が離せなくなっていた
アズール『そんな貴女だから、僕は..僕は..貴女が欲しい....その力も、その力があれば..』
『っ..!!』
ギリッと絞める力を強めるとアズールは頬に添えた手から、生徒達から能力を吸い取っていたのと同じようにレイラの全ての能力を吸い始めた
アズール『貴女の全ては僕のものだ!!』
『っぁぁぁぁ!!』
レイラの悲痛な叫びが遠くにいたエース達の耳にも届いていた
エース『レイラ!?』
デュース『どこにいるんだ!』
レオナ『ちっ..アズールの野郎、レイラの力を吸い取ってやがるな..くそ..っ!』
ラギー『声が反響して位置が分かんねぇ..』
ジャック『風魔法でも払えないなんて..どうなってやがるこのモヤは』
アズール『あははは!これで僕は無敵だ!もう誰にもグズでノロマなタコ野郎なんて呼ばせない!黒ウサギの力があれば...ははははっ!!』
『アズ..さ..っ!!やめ、て..っ!』
アズール『さぁ、早く僕にその力を寄越しなさい...!』
『ダメっ...!ダ...メ...!!』
だが一向に黒ウサギの力だけが吸い取れないアズールは段々と焦りや苛立ちが募り始める
アズール『っ..何故だ!何故黒ウサギの力が来ない!?』
バリバリバリバリ!!
『ぁぁぁぁっ!!』
アズール『これでっ...!っ!?まだ来ない!!何故だ、なぜ...なんでだよ!!』
アズールは何度もレイラに雷を落として弱らせていくが、なぜだか内側から鍵をかけられているように黒ウサギの力はアズールの元へと行こうとはしない
『ぅっ...!!く、来る...アズさ...はな、れて..』
そこでレイラの意識はふっと途切れていった