第31章 *動転ヒステリック*
アズール『だって、無くなっちゃったんですよ、全部..あはは、あはははっ!このままじゃ昔の僕に戻ってしまう!』
フロイド『あのさー。今のアズールって、昔のアズールよりずっとダサいんだけど』
アズール『あ~~~、そうですか。どうせ僕は一人じゃ何もできないグズでノロマなタコ野郎ですよ』
『アズさん..』
アズールの言葉にレイラはかつて自分がリドルに言われたことを思い出して重ね合わせていた。一人では何も出来ない、その事に対するツラさがレイラには痛いほど分かった
『(アズさんは..昔の自分が、何もできない自分がやで...)』
アズール『だから、もっとマシな僕になるためにみんなの力を奪ってやるんです。美しい歌声も、強力な魔法も、全部僕のものだ!寄越しなさい、全てを!』
黒い光が放たれると、先程よりも多くの生徒から悲鳴と混乱の声があがり、アズールを取り巻く黒いモヤは更に量を増やしていく
『アズさん、それ以上魔法使っちゃダメ!』
エース『バカっ!今のあいつに近づくなって!』
『でも早くしないとアズさんが!』
アズールを止めようと走り出すレイラだったが、エースに抱き止められる
アズール『あーっはっは!あーーーっはっは!!』
その時黒いインクは心を染め上げ、慈悲の精神を汚し蝕んでいった
その淀みは宝石を濁らせ、彼の姿を変えていく
そこに現れたのは、漆黒にその身を染め上げたアズールの姿だった。二本の人間の足だったところはなくなり、八本の自在に揺らめかせるタコの足へと変容していた
左目に深海のような青黒い炎を纏わせ、背後からは同じくタコ足を持った手には三叉の槍を携えた女性型の化身が現れる
『ぁ...オーバーブロット..』
グリム『ふな"っ!?あいつ、足がタコになったんだゾ!』
ジェイド『あれが海の中でのアズールの姿です』
フロイド『あの後ろの何?オレでも絞められないほどデカイ!』
レオナ『今はアズールを正気に戻すことが最優先だ』
全員構えろ!とレオナの号令と共に既に構えているレイラ達に加え、リーチ兄弟も覚悟を決めてアズールと対峙することになった