第30章 *出航ストラテジー*
悲しみ嘆くアズールの周りから次第にドロドロとした黒いモヤのようなものが渦巻き始める
レオナ『なんだ..!?黒いオーラが..』
ラギー『レオナさんが期待させてから落とすような真似するからっすよ!アズールくん。ほ、ほら、ちょっと落ち着こ、ねっ!』
嫌な予感を感じたラギーが慌ててあやすように優しく声をかけるが、アズールには逆効果で怒りを増幅させるだけとなってしまった
アズール『うるせ~~~!お前らに、僕の気持ちなんか分かるもんか!グズでノロマなタコ野郎とバカにされてきた僕のことなんか..お前たちに分かるはずない!!』
はぁ~...と荒ぶった気持ちを落ち着けようと目を閉じて這いずるように息をはくと、ゆっくりと目を開ける。虚ろな瞳が二人を見つめる
アズール『...ふ、ふふふ。ああ、そうだ...なくなったなら、また奪えば良いんだ...くれよ、なぁ、お前らの自慢の能力、僕にくれよぉ!!』
アトランティカ記念博物館
リーチ兄弟から逃げ回っていたユウ達の前に突如として光の粒が降り注ぎ、エース達のイソギンチャクがサラサラと消えていった
『3人とも、イソギンチャク消えてる』
エース『ん?あぁっ!ホントだ!!』
グリム『やった!レオナたちがやってくれたんだ!』
ユウ『良かった..』
『作戦成功』
いえーい!とハイタッチをして喜ぶユウ達に、リーチ兄弟は目を見開いて驚いた
ジェイド『何ですって?』
フロイド『どーゆーことだよ、それ』
グリム『オレ様達、作戦に協力してもらうためにレオナたちと取引したんだゾ!』
フロイド『はあ!?いつもトドみたいに寝てばっかのあいつが、お前らに協力するわけないじゃん』
ジェイド『彼は同じ寮長であるアズールと揉めることは避けるはず。一体どんな手を使ったんです?』
表情を崩す双子にグリムは得意気な顔をして語りだした
グリム『ユウがな、オンボロ寮を取り戻す手伝いをしてくれるなら明日部屋から大人しく出ていく。でも、協力してくれないなら、毎日部屋の前で3人で朝まで大騒ぎしてやるって言ったんだ』
『言うだけじゃなくてちゃんと目の前でやったの..ちょっと楽しかったよ。眠いけど』
その様子を想像したリーチ兄弟は"うわぁ.."とドン引いた声を出した