第30章 *出航ストラテジー*
アズール『レイラさんが..!?なぜだ、なぜ彼女は僕の邪魔ばかりしてくる!?イソギンチャクから解放したって、何の得もないだろう!?』
レオナ『あいつはただユウに賛同して参加してるだけだが、それについては俺も同意見だな...そこでだ、なあアズール、俺と取引しようぜ。この契約書をお前に返したら、お前は俺に何を差し出す?』
アズール『な、なんでもします。テストの対策ノートでも卒業論文の代筆でも、出席日数の水増しでも、なんでも貴方の願いを叶えます!』
契約書を取り戻すためならと震える声でなりふり構っていられない様子に、レオナは口端をゆっくり上げた
レオナ『なるほど、実に魅力的な申し出だ』
アズール『なら、』
レオナ『だが..悪いが、その程度じゃこの契約書は返してやれそうにねぇなぁ』
アズール『え?』
レオナ『俺はな、今、あの二人に脅されてんだよ。契約書の破棄に協力してくれなきゃ、毎日朝まで毛玉と一緒に部屋の前で大騒ぎしてやるってな』
アズール『は?』
レオナ『オマケにレイラからは、協力してくれなきゃ今後一切サバナクローどころか俺に近づくのも触るのも禁止するって言われてなぁ』
アズール『な、にを..』
レオナ『お前にオンボロ寮を取られちまったら、俺が寝不足+レイラ不足になっちまう。ユウ達にサバナクローから出てってもらい、尚且つレイラに触れるためにも、契約書は破棄させてもらうぜ』
アズール『まさか、そんなことで..?貴方は何かに執着するはずがない!どうせただの気紛れに彼女を気にかけているだけだろ』
あり得ない..と言わんばかりに瞳を揺らしながら開いた口が塞がらないアズールを嘲笑いながら、レオナは改めて手を掲げて魔法を放とうとする
レオナ『悪いがあいつに関しちゃ俺は本気なものでな。悪党として、二人に一歩負けたな。アズール』
アズール『うそだ...やめろ!』
レオナ『さあ、平伏しろ!"王者の咆哮(キングス・ロアー)!"』
アズール『やめろぉぉぉ!!』
サラサラと砂となり消えていく契約書の束を、アズールはただ何もできずに立ち尽くしたまま見つめることしかできなかった
アズール『あ、あああ..あああ..!!僕の、僕の黄金の契約書が..っ!全部、塵に..っ!』