第30章 *出航ストラテジー*
レオナ『さっきそこで拾ったんだが、お前のものだった気がして、届けに来てやったんだ』
アズール『そ、それは..!』
レオナ『やっぱりビンゴか』
アズール『返しなさい。窃盗は重大な犯罪ですよ!』
レオナ『はっ、親切で届けに来てやったってのに泥棒扱いかよ。いいぜ、返してやるよ。ほら』
ポイっと投げられた鍵を両手でキャッチしたアズールは、すぐに返してもらえたことと鍵に何の異常もないことにホッと息をはいた
レオナ『俺の用事はそれだけだ。じゃあな』
意味深な横目でアズールを見つめながらレオナが部屋を出ていくと、アズールはもう1つの大事なものを急いで確認し始める
アズール『け、契約書..!契約書は!?』
震える手で解錠し金庫の扉を開くと、そこにあったはずの契約書の束は跡形もなくなっていた
アズール『!!!ない、ない、ない!!契約書がどこにもない!!あの野郎、まさかっ..!?』
オクタヴィネル寮
寮前で待っていたラギーは片手に大量の契約書を抱えながら、遅れて歩いてきたレオナを見てニヤリと笑う
ラギー『シシシッ!上手く持ち出せましたね』
レオナ『ふん、お前の手癖の悪さには恐れ入るな』
ラギー『絶対にとられたくないなら、ポケットにもしっかり鍵かけとかなきゃ。にしても、この契約書の量すごいっすね。5、600枚はありそう』
レオナ『この学園に入るずっと前から悪徳契約を繰り返してこつこつ溜め込んでたんだろうぜ。これで契約書はVIPルームの外に持ち出せた。後は..』
契約書をラギーから受けとると、持つ方とは別の手を掲げてふわりと魔力を集中させていく
レオナ『"俺こそが飢え、俺こそが渇き、お前から明日を奪うもの..."』
アズール『待ちなさい!!』
ユニーク魔法の詠唱を始めると、追い付いたアズールが後方から声を張り上げる
レオナ『..おっと、もうお出ましか。それ以上こっちに近づくなよ。契約書がどうなっても知らないぜ』
アズール『か、返してください..それを返してください!!』
レオナ『おいおい、少しは取り繕えよ。おすましごっこはもう止めたのか?その慌てぶりを見るに、あいつの予想は当たってたらしいな』
アズール『なん..だって..?』