第30章 *出航ストラテジー*
アズール『まったく。食事どころで埃をたてるなと躾けられていないんですかね。分かりました、僕が行きます。あちらはジェイドたちに任せておけば大丈夫でしょう』
やれやれ..と呆れとため息を1つ吐くと、アズールはVIPルームを後にした
ラウンジへと出たアズールの目の前には、いつもなら開店直後でまだ少ないはずの客足が、ありえないほどにごった返していた。次々に注文されるその速さに、従業員の寮生達もバタバタと対応に追われていた
アズール『道を開けてください、通ります!』
食事を奪い合い今にも乱闘しそうなテーブルを見つけ、直ぐ様対応しようと人混みの中を何とか潜ろうとするアズールに、ドンッと誰かの肩にぶつかったことに気づいた
アズール『失礼!』
状況が状況のため、顔も確認できずに謝罪の声だけをかけるとまた奥へと進んでいった
ラギー『いーえ、気にしないで。シシシッ!』
それが悪い笑みを浮かべるハイエナだとは知らずに
オクタ寮生B『寮長!大量のオーダーが入って、本日分の食材の在庫が底を尽きました!』
オクタ寮生C『飲み物の在庫も切れそうです!』
アズール『もう!?仕方ありません。金庫からお金を出してきますから、購買部へ買い出しにいって..』
そう言ってポケットに手を突っ込むアズールだったが、いつもそこに入っているはずの鍵の感触がないことに気がついた
アズール『..ん?はっ!な、ない..!金庫の鍵が、ない!まさか..まさか!』
冷や汗が頬を伝い、青ざめていくアズールは急いでVIPルームへと踵を返して走って戻っていった
バンッ!!!と勢いよく扉を開けると、そこには無作法にもテーブルの上にどかっと腰掛けるレオナが慌てて入ってきたアズールを愉快そうに見つめていた
レオナ『よぉ、タコ野郎』
アズール『レオナ・キングスカラー..!』
レオナ『どうした?いつもすましたお前が、えらく慌ててるようだが』
アズール『君には関係ありません。それより、貴方はどうしてここに?』
レオナ『どうしてって..この鍵、お前のじゃねぇか?』
指で摘まんだ鍵がチャリっと音を立てると、アズールの目が驚愕と焦りに揺れ動く