第30章 *出航ストラテジー*
エース『うわ~~、マジかよ!!??』
エースは警備員の前で少し大袈裟に声をあげ、彼らの注目を一気に浴びた
人魚A『..ん?キミ、どうしたんだい?』
エース『今日って休館日なんすか?信じられねぇ。ここに来るの、めちゃくちゃ楽しみにしてたのに..』
人魚A『おや..キミ、変わった尾ひれをしているな。陸の人間か?こんなところまで一人で来たのかい?』
エース『はい!オレ、子供の時から人魚の世界に憧れてて。お小遣い貯めて魔法薬を手に入れて、やっとここに来られたんですよ』
初めて憧れの人魚を見たかのような少年を演じ、興奮した様子を装い人魚を煽てていく
グリム『あいつ、よくあんなにスラスラ嘘が口から出てくるんだゾ』
ユウ『気を引くからその隙に裏から回って写真を拝借してきてって言われたけど..』
『何か..すごいね』
ジャック『そこはアズールの時みたいに"ひえ.."って言わねぇんだな』
『ひえ..』
ジャック『いや今言われても』
デュース『完全に警備員が会話に気を取られてる。今のうちに行くぞ!』
ユウ達はエースが会話で引き付けている隙にバレないようにアトランティカ記念博物館へと侵入していった
博物館の中は、様々な展示物で満たされていた。数々の著名人の来館記念写真や調度品、そして中央には威厳に満ちた大きな人魚の石像が立っていた
ジャック『アズールが指定した場所はここだな』
『リエーレ王子の来館記念..』
デュース『あったぞ、これじゃないか?"リエーレ王子、ご学友とご来館"エレメンタリースクールの遠足の記念撮影みたいだな』
デュースが写真の展示コーナーから1枚持ってくると、そこには種族はバラバラなれど人魚と呼ばれる小さな子供たちがずらりと並んでいた
ジャック『あいつ、なんでこんなものを取ってこいなんて指定したんだ?』
デュース『分からないが..とにかく、これを持って帰れば頭のイソギンチャクがとれる!拝借していこう』
『ちょっと見せて』
ズイッと写真を覗きこんだレイラの目に、ある一人の人魚の姿が目に焼き付いた
『(...この子..)』
ユウ『どうかした?』
『もしかして..』
人魚B『..ん?お前たち、そこで何をしてる!?』