第29章 *悪計コンセンサンス*
光にみとれていると、スタッと降り立つ姿があった。それはいつかの日に出会った頭に角を生やした謎の青年だった
?『..ん?お前達は..』
『『貴方は、ツノ太郎!』』
?『ツノ太郎?ツノ太郎とは..まさか、僕のことか?』
青年、もといツノ太郎は突然のネーミングがまさか自分だとは思わず目を丸くして驚いた
『好きに呼べって言ったでしょ?』
ユウ『グリムがつけてくれました』
ツノ太郎『ふっ..ふふ、ははは!この僕をツノ太郎とは!本当に恐れを知らないと見える』
心底面白いと言わんばかりに、牙をちらつかせながら笑いだす
ツノ太郎『まあいい。好きに呼べと言ったのは僕だ。その珍妙な渾名で僕を呼ぶことをお前たちに許す..ところで、ここ数日この寮の中が騒がしいようだ。お前たち以外にも寮生が?』
ユウ『かくかく』
『しかじか』
ツノ太郎『なに?アーシェングロットと取引を?なるほど..そうか。では、きっと明日の日没までにここはあいつの所有物となり騒がしい生徒達の社交場になるだろう』
『むぅ..』
ツノ太郎『..ふ、何やら異議がありそうな顔だ。お前たちが負ける前提で話しているのが気に入らないか?』
ユウ『そりゃあね..』
『ツノ太郎、意地悪』
ツノ太郎『そうむくれるな..』
青年は笑みを浮かべながら近寄ると、サラリと手袋越しの細い指でレイラの頬から横髪をすくように滑らせる
『ん..くすぐったい』
ツノ太郎『...愛らしいなお前は』
愛おしげに目を細めて触れていくツノ太郎にユウは違う意味で顔をしかめる
ユウ『ちょっとツノ太郎』
ツノ太郎『嫉妬か?ふ、まぁいい..ところで、この寮の壁には見事な彫刻のガーゴイルがあるな』
『ガーゴイル?石像?』
ユウ『(突然別の話が始まった..)』
ツノ太郎『ガーゴイルというのは、一見禍々しい姿をした怪物の彫刻に見えるが..実は、雨水が壁面を汚さぬように作られた雨どいの一種なんだ。見た目こそ恐ろしいが、あれらは屋敷を大切に慈しむ存在..ということだな』
ユウ『役目と見た目にキャップがありますね』
ツノ太郎『目に見えるものとその実態は時として真逆なこともある』
『それは..アズさんの魔法とも関係ある、んだよね』