第29章 *悪計コンセンサンス*
ジャック達の必死の抵抗も虚しく、形勢は圧倒的にアズールたち側に向いていた
ジャック『はぁ、はぁ..くそ、寮長クラスってのはこんなに強いのか!』
アズール『これに懲りたら、契約書を盗もうなどと考えないことです』
フロイド『それより早くアトランティカ記念博物館に行った方がいいんじゃない?』
ジェイド『タイムリミットは明日の日没まで。もう時間がありませんよ』
フロイド『ま、今からオレらにボコボコにされて保健室で寝てたらもうタイムリミットかもだけどね~!』
デュース『また来るぞ!』
エース『くそっ、召喚魔法は得意じゃねぇけど..いでよ、大釜っ!』
エースがペンを振るうと、頭上からフロイドへ向けてデュースのお得意魔法である大釜が降り注ぐ
デュース『おまっ、僕の真似をするな!』
フロイド『昨日も言ったじゃん。そんなん当たんねーよ!巻きつく尾(バインド・ザ・ハート)!』
『...』
エースの大釜がフロイドに直撃しようとしたが、ユニーク魔法が発動し、昨日同様大釜はフロイドから逸れて飛んでいき、金庫に大きな音を立ててぶつかった
その瞬間、涼しい顔をしていたアズールが初めて表情を崩して声を張り上げた
アズール『フロイド!どこに向けて魔法を打ってるんだ!金庫に向けて逸らすやつがあるか!』
フロイド『あ、ごめーん』
アズール『ああ、扉に傷が!ダイヤルや蝶番はバカになってないな!?』
アズールはあわてふためいて金庫へ走り寄り、傷のついた扉を触りながら細かくチェックする。幸い傷だけで他は何もなかったのを確認すると、"良かった"と心からの安堵を見せた
アズール『ユニーク魔法を考えなしに使うのはやめろといつも言ってるだろう!何度言えば分かるんだ!?』
フロイド『ゴメンって。ちっせー傷がついたくらいでそんな怒んなくてもいいじゃん』
アズール『壊れてからじゃ遅いんだよ!!』
いつもの丁寧口調から想像できないほどに、アズールは言葉を荒げてフロイドをまくし立てる
ジェイド『二人とも、落ち着きなさい。さもないと..彼らが逃げちゃいますよ』
『『えっ?』』
グリム『今がチャンス!あばよっ、なんだゾ!』
『アズさん、ジェイさん、フロさん、バイバイ』