第28章 *水中ビギナー*
グリム『ふんがっ!水の中って全然前へ進めねぇんだゾ~!』
呼吸はできるようになったものの、水中での移動という不馴れな事に苦労しながら、全員もがきながらもアトランティカ記念博物館を探して前へと進みだした
アトランティカ記念博物館
そこは記念博物館というよりも、優美な城を彷彿とさせるような建物で、いくつものアーチが複雑に絡まりどこか幻想的だった
デュース『おっ..何か見えてきた』
エース『あれ、アトランティカ記念博物館じゃね?』
グリム『ふなっ!足が魚みてぇになってるやつらがいっぱいいるんだゾ』
そこには上半身人間で下半身が魚の尾ビレを持った、所謂"人魚"と呼ばれる種族の生き物が博物館を囲うように泳いでいる
ジャック『人魚..か?マジで水の中で生活してるやつらがいるなんて』
『お魚の尾ひれ...ん?』
ふと何かの気配に気づいたレイラが後ろを振り返るが、そこには広大な海が広がるだけで何もいなかった
ユウ『レイラ?どうかした?』
『いや...何でも...!!ううん、いる』
?『あ~~~♥️きたきた、小エビちゃん達』
?『ごきげんよう、みなさん。いかがです?海底の世界は』
グリム『この声は..そっくり兄弟!』
『ジェイさん、フロさ...っゃ!』
ゆらりと2つの黒く長い影が視界の端で揺れ動き、聞き覚えのある楽しげな声に振り返ろうとすると、長い何かがレイラの体に巻き付き強い力で引き寄せられる
『ぅ...あ、れ...?』
フロイド『正解で~す』
『『『!!!!』』』
ポスッと何かに包まれる感触に目を開けると、そこには確かにジェイドとフロイドの顔があった。
だが、いつもの人間としての姿はなく、全身は青緑色の皮膚に覆われ、腕や耳の部分に膜の張った鋭い胸びれのようなものが生えている。下半身も先程の人魚同様、足の代わりに尾ビレが揺らめき、余りにも変容したその姿に一同驚愕に顔を強ばらせる
ジャック『あ、あんたら何だその姿は!?』
フロイド『何って、"いつもの姿"だけど?だってオレたち、人魚だもん』
ユウ『人魚!?』
ジェイド『地上にいるときは魔法薬で姿を変えているんです。この尾ビレでは陸を歩けませんからね』