第27章 *標的モニタリング*
『いい。元々私の力..使いこなせるように頑張ってみる。ありがとアズさん、私のこと考えてくれて』
頬に添えられた手に自身の手を重ねると、ふわりと小さく笑う。その瞬間、アズールの体の奥からゾワッと這い上がる感覚が走った
アズール『っ...礼を言われる筋合いはありませんよ。僕はただ貴女を自分の良いようにしたいだけです』
『それでもありがと。じゃあ、私帰るね』
アズール『...ジェイド達に送らせます』
フロイド『へぇ~、クリオネちゃん契約しなかったんだぁ』
ジェイド『これは意外でしたね』
『アズさんに何かあったら怖いし..それに、自分の力だもん。自分で何とか出来るようにしないと..』
暗い夜道をレイラはリーチ兄弟と手を繋ぎながらオンボロ寮への道を歩いていた
『それに、これ以上ユウに迷惑はかけられないから』
ジェイド『ふふ..アズールの残念そうな顔が今にも目に浮かびますよ』
フロイド『オレらも残念だけどね~』
『ジェイさんもフロさんも、私がほしかった?』
ジェイド『ええ、とても欲しいですよ。何故か貴女は側に置いて大事に閉じ込めてしまいたいんです..』
フロイド『それに超美味しそうなんだよねクリオネちゃんは。何か良い匂いもするしさぁ♪食べたくなる』
夜だというのにギラリと光る二人の瞳に恐怖を抱きつつも、悟られないように前を向いてひたすらに早くオンボロ寮に着けと願っていた
オンボロ寮
ジェイド『ほう、ここがオンボロ寮。中には初めて入りましたが、中々趣のある造りですね。学校からも近いですし、モストロ・ラウンジ2号店にぴったりの立地です』
レイラをオンボロ寮まで送ったリーチ兄弟だったが、何故かそのまま寮内にまで足を踏み入れ、中の構造を興味津々に見つめていた
フロイド『ここ、ゴーストが住んでるんでしょ?面白そうでいいなー』
グリム『で、オメーらは何でここまで着いてきてるんだゾ..』
フロイド『だってこの寮を担保に、アズールと契約してたじゃん』
グリム『ふな"っ!?』
ジェイド『ユウさんは他の皆さんとは違い、契約時に能力を預けていただくことができませんでしたから。代わりに、この寮を没取させて頂きます』
グリム『にゃに~~~!?』