第27章 *標的モニタリング*
『ユウ達を助けるためには、私がアズさんたちのものになればいい...』
アズール『ええその通り。どうです?難しいことはありません。僕の忠実なウサギになってくれるだけで、貴女は大事な人たちを救えて、おまけに厄介な力からも解放される』
最高の条件でしょう?とアズールはニコニコと笑うが、レイラの顔は浮かばれるどころか暗く沈み始めていた
アズール『どうしました?納得いきませんか?こんなに良い条件を提示したというのに...』
『アズさんの条件は確かに良い..けど、ダメ』
アズール『僕のものになるのは嫌ですか?』
『それは..良いけど』
アズール『(あ、それはいいんですね..)では、何故?』
頬に手を滑らせると、少しくすぐったそうにしながら、真っ直ぐにアズールを見つめる
『もし私から離したら..黒兎の力が周りの人に、アズさんに何をするか分かんない、から..怖くて』
アズール『はい?』
てっきり自分の特別な力を手放すのが嫌だと言われるかと思っていたアズールは、まさか自分の身を案じてのことだったことに驚きを隠せないでいた
『あの力..私に凄く拘ってたから...もし、アズさんが私から離そうとしたら、危ないことするかもしれない』
アズール『僕を、心配してくれるんですか...?』
『ん...』
アズール『さっきのユウさんとのやり取りで、てっきり嫌われたかと』
『確かに今のアズさんは悪い子、って思ってるけど、だからって傷ついていい理由になんない..でしょ』
アズール『...まったく、なんて愚かな人だ...』
本当に...と頬に添えた手をそのままに、顔を近づけ口付けようとした。だがレイラの手がアズールの口を覆ったことでそれは叶わなかった
『ダメ』
アズール『...どうして』
『アズさんは私のこと好きじゃないでしょ?キスは好きな人にするものだよ』
アズール『(だからしようとしたんですけど..)まあいいでしょう。ということはこの契約の話はなかったことに、ということでよろしいですか?』
『ん...私はしない。ユウ達と写真をとりにいくやつに協力する。それでみんなを解放する』
アズール『黒兎の力は、これからも貴女を蝕もうとしますよ?』