第27章 *標的モニタリング*
アズール『では本題に入りましょう。レイラさん、僕は貴女にも契約のチャンスをあげましょう』
『何がほしいの...』
アズール『焦らないで下さい。まずは貴女の望みから。レイラさん、ユウさんを助けたくはありませんか?』
ゆっくりと、でも確実に距離が縮められていく。思わず後ずさりをするが、気がつけばすぐ背中には壁が迫っていた
『っ...できるの?』
アズール『本来ならばしないサービスですが、貴女は僕らにとっての特別なお客様。そうですね...
"ユウさんの契約をなかったことにして、尚且つイソギンチャク達との契約も破棄し、解放することにする"というのはいかがですか?』
『!?』
アズール『どうです?貴女が最も望む願いでしょう?』
これ以上ないほどの最良の望みに、すぐにでも契約すると言ってしまいそうになる。だが、首を横に振ってすぐにその思いを断ち切る
『アズさんの条件は?』
アズール『2つ願いを叶えるわけですから、こちらも2ついただきます。僕の条件、それは』
壁に追い込まれたレイラに対して更に距離をつめると、至近距離でその深紅の瞳を見つめる
アズール『貴女自身。そして貴女の中に眠る黒兎の力』
『私の...力』
アズール『ええ。貴女の事は調べました。貴女には巨大な影の兎を生み出し操る力があるそうですね』
『それは、私じゃなくて..私の中にいる..』
アズール『中に?..詳しく聞かせていただけますか?』
レイラは自身に宿る謎の声の話をアズールに聞かせた。それを今は制御できていないことも
アズール『ふむ..成る程、寧ろ好都合ですね。貴女は今、その力に振り回されている。ならば僕がそれを条件としてもらってしまえば、もう振り回されずに済むのでは?』
『じゃあ、それを条件にしてアズさんと契約するとして...もう1つの私自身って、なに?』
アズール『よい質問ですね。貴女にはオクタヴィネル寮の寮生として転寮してもらい、そして僕らのものになるのです』
『アズさんの...?グリム達、みたいに?』
アズール『いいえ、あんな下僕みたいに扱ったりしません。ただ、僕らの命令に絶対服従の身になることは確実です』