第27章 *標的モニタリング*
ジェイド『アトランティカ記念博物館は、珊瑚の海の国宝である"銀の髪すき"や、重要文化財"人魚姫のコルクオーブナー"などが20個も収蔵されていることで有名な観光名所です』
『そっか...気になる』
ジェイド『ふふ...ですから、海底で一粒の砂金を探すような話ではありません』
フロイド『そーいえば、オレたちもエレメンタリースクールの遠足で行ったっけ』
ジャック『ちょっと待てよ、珊瑚の海って国は国自体が海の中にあるはずだろ。エラもヒレもない俺達には滞在することすら難しい。こっちの条件が難し過ぎるんじゃねぇのか』
『溺れちゃうね』
アズール『その難問を自分で乗り越えてこそでしょう...と言いたいところですが、ご安心ください』
そう言うと、アズールは懐から黄緑色に輝く謎の液体が入った巻き貝型の瓶を取り出す。説明によると、海の中でも呼吸が可能になるという魔法薬が入っているという
アズール『海の魔女も、人間に恋した哀れな人魚姫に陸を歩ける足をつけてあげたそうですから。大切なのは慈悲の心...ですよ。ふふふ』
『言葉と顔合ってないよアズさん』
アズール『失礼。さあ、どうします?僕と取引し、契約書にサインしますか?僕も暇ではないんですよ..早く決めてください。さあ...さあ...!』
言葉を強め追い立てるようにせかすと、ユウはギュッと拳を握りしめ決心した瞳でアズールを見上げる
ユウ『契約します!』
アズール『いいでしょう!ではこの契約書にサインを』
パチンと指をならすと、フワリとその場に黄金に輝く契約書と備え付けの魚の骨型のペンがユウの前に現れる
サラサラと名前を記入すると、契約書はアズールの手元へとまた浮き上がり戻っていく
アズール『ふふふ...確かに頂戴しました。これで契約は完了です。3日後の日没までに、アトランティカ記念博物館から写真を奪い、僕の元へ帰ってくることが出来れば、僕の下僕である225名のイソギンチャク達の自由を約束しましょう
でも、もし奪ってこられなければ...オンボロ寮は僕のもの。そして貴方もまとめて僕の下僕になってもらいます!』
ユウ『絶対に負けられない!』
アズール『ジェイド、フロイド、お客様のお見送りを。3日後を楽しみにしていますよ』