第27章 *標的モニタリング*
アズール『貴方にも担保になるものはあるのでは?例えば...ユウさんが管理しているオンボロ寮の使用権、とか』
ジャック『!!てめぇら、最初からそれが狙いで...』
グリム『その話、乗った~~~~~!!!』
ジャックが立ち上がろうとしたその時、バンッ!!と凄い音をたてて、外から聞いていたのか、皿洗いで全身泡まみれのグリムが扉を豪快に開けながら入ってきた
ユウ『ぜ、全身泡だらけの謎の生物が!?』
『あれグリムじゃない?』
グリム『も、もうこんな生活嫌なんだゾ!オレ様の毛は食洗機じゃねぇってんだ!』
ジェイド『グリムさん。従業員が仕事をサボって立ち聞きとは、感心しませんね。フロイド、つまみ出しておしまいなさい』
フロイド『はぁ~い』
アズール『まあまあ待ちなさい、二人とも。ユウさん、たった二人の寮生の内の一人、グリムさんがこう仰っていますよ。どうします?オンボロ寮を担保に僕と契約なさいますか?』
グリム『うぅ、ユウ~助けてくれぇ...』
涙目に訴えかけるグリムに、ユウの瞳が揺れ動く
ジャック『おい、ユウ。止めとけ!どうせこっちが不利な条件での契約に決まってる』
ユウ『願いを叶えるための条件は...?』
ジャック『おい!』
アズール『この契約の達成条件は...
"3日後の日没までに、珊瑚の海にあるアトランティカ記念博物館からとある写真を奪ってくること"!』
ジャック『俺達に美術品を盗んでこいって言うのか!?』
ジェイド『!』
アズール『いいえ、美術品ではありません。奪ってきて欲しいのは...10年前撮影された、リエーレ王子の来館記念の写真です』
『王子様の記念写真?』
アズール『博物館の入り口に飾ってあるもので、歴史的価値など一切ないただの写真パネルです。拝借したところで、大事になったりしません』
グリム『じゃあなんでそんなことさせるんだゾ?』
アズール『ふっ、それなりに難儀でないと、勝負にならないでしょう?あまり簡単な条件だと、僕が損をするばかりですからね。こちとら、慈善事業じゃないんですよ』
『ジェイさん、アトランティカ記念博物館って?』