第26章 *オクタヴィネル寮編~深海の商人~楽勝スタディ*
ジャック『って、あんたもうまい目に遭ってるじゃないすか』
学園『ああ、今年はいったい何を要求されるか...バカな...いえ、可哀想な生徒のためなら私はまた彼の要求をのんでしまうでしょう。私、優しいので』
『クロさんもバカって言いかけた...』
学園長『ごほん!アーシェングロットくんは真面目に勉強し、その知識を慈悲深くも他の生徒に教えている"だけ"...教師としてはやめるよう強く言えません。なんでこの学園にはちょっと問題がある生徒ばっかり入学してくるんでしょう!お~~いおいおい!』
声だけの泣き真似をするクロウリーに、ユウとジャックは白い目で見つめる。一方レイラは一人、自分のことのように同情した
『クロさん大変そうだね...』
ユウ『この流れは、イヤな予感がする...』
学園長『と、いうわけでユウくん、レイラさん。こんなことは止めるよう、アーシェングロットくんを説得してくれませんか?』
ユウ『絶対に説得を聞くタイプじゃない!』
学園長『はあ...最近オンボロ寮の食費が非常にかさんでいるんですよねぇ...この前は大がかりな補修も行いましたし。懐が寒いなぁ...』
『...半分私のせい、だね』
ユウ『それは違うよレイラ。今のこれでやっと最低限、人が生活できるところまで来たんだよ。それに、もっと早く直してればレイラが風邪を引く確率も格段に減ったかもしれないのに...どっかの誰かさんが』
言いかけたその時、クロウリーの大きな咳払いが言葉を遮る
学園長『ごほん!!!...あ~誰かさんを元の世界に戻すためのリサーチをしているせいで、問題解決に割く時間も中々とれないし...あ、いえ気にしなくてもいいんですよ。私、優しいので』
ジャック『この教師にして、あの生徒ありって感じだな...』
ユウ『はぁ...やれるだけやってみます』
学園長『そうですか、引き受けてくれますか!さすがユウくん、私が見込んだ監督生です!』
ため息混じりに承認すると、先程までの落ち込んだ顔から一変、こうなることを予想していたようにパアッと明るく顔を輝かせた
気が変わらない内に、と言わんばかりにクロウリーは"忙しいのでこれで失礼"と足早にオンボロ寮から去っていった