第26章 *オクタヴィネル寮編~深海の商人~楽勝スタディ*
学園長『ナイトレイヴンカレッジ過去百年分のテスト出題傾向を徹底的に調べあげ、自力で書き上げた"虎の巻"なんです』
ユウ『過去100年分!?』
『アズさん、スゴいね...』
ジャック『自分の力だけでそんなもん作るなんて、やるじゃねぇかアイツ。ん?待てよ。つまり、不正じゃないことが逆に厄介...ってことか?』
学園長『ハウルくん、良い着眼点です。教師の立場として、いち生徒が"合法的な努力"でテストの対策ノートを作ることは禁止できません。そして、"親切"で友人に勉強を教えることもね』
ジャック『禁止したら、"勉強するな""ダチと協力すんな"って言ってるようなもんだな。グルル...厄介だ』
『クロさん、"今年も"ってことは去年も?』
学園長『ええ。去年はまだ彼の対策ノートの評判が余り広まっていなかった分、これほど大きな騒ぎにはならなかったんですが...今年は、"テストで良い点が取りたいならモストロ・ラウンジへ"という噂が学園中に流れていたようで』
ジャック『でも、契約違反をすればどんな酷い目に遭うかは、強固な守秘義務があって広まらなかった?』
学園長『そのようです。結果、今年はアーシェングロットくんと取引する生徒が続出。全学年・全教科の平均点が90点を超える事態になってしまった...というわけです』
ユウ『赤点まみれよりかはマシだと思うけど...つまり、ほとんどの生徒がズルをしたってことか』
ジャック『じゃあ、去年アイツとの勝負に負けたやつは、未だにずっと能力を取り上げられたままって事か』
学園長『それが...彼は去年、生徒達から取り上げた能力を元に戻すことを条件に、学園内で"モストロ・ラウンジ"の経営を許可するよう私に交渉してきたのです』
ジャック『はあ!?』
クロウリーの証言では、優秀な魔法士を輩出するナイトレイヴンカレッジの生徒がささやかな魔法しか使えないのは困るだろう
そう言ってにこやかに交渉に持ち込んできたのだという
学園長『...といった具合に』
『わー...アズさんクロさん相手に取引...すごい』
ジャック『あのレオナ先輩が近づきたがらないのも分かるぜ』
学園長『しかも売上の10%を学園に上納するというwin-winの関係まで提案してきてもう...』