第26章 *オクタヴィネル寮編~深海の商人~楽勝スタディ*
アズール『君達は僕と勝負をして、負けた。契約に基づき、これから卒業までの間、僕の下僕として身を粉にして働いてもらいます』
エース『ちょっと待った、こんなん詐欺だろ』
アズール『確か君は、1年のエース・トラッポラさんでしたね。詐欺だなんて人聞きの悪い。僕は契約通り君に完璧なテスト対策ノートを渡したはずですよ。しっかりこなせば、90点以上はとれたはずだ』
エース『ああ、確かにとれたぜ、92点!』
アズール『それは良かった!お役に立てたようで何よりです』
人当たりの良い笑みを浮かべるアズールに対して、エースの顔は曇ったままだった
エース『でも、対策ノートを渡した相手がこんなにいるなんて話は聞いてねーよ!』
デュース『エースの言うとおりだ。これじゃ、いくら対策ノートをもらたって、上位50名に入れるわけないじゃないか!』
グリム『みんなが90点以上じゃ、85点とっても赤点の時と順位が変わらねぇんだゾ!』
アズール『貴方達、守秘義務、という言葉をご存じですか?楽をして良い点をとりたい、落ちこぼれになりたくない、テスト前日まで遊び呆けていたい...今回、期末テストで僕を頼ったバカ...いえ、みなさんの事情は様々でしたが...』
『今、アズさんバカって言った...』
ユウ『こらこら静かに』
アズール『"誰が""どんな事情で""どんな契約をしたか"...などというプライバシーに深く関わることを僕がペラペラと他人に喋るわけないじゃないですか。僕は誠実な男ですから』
グリム『じ、じゃあテスト対策ノートの担保に預けたオレ様の火の魔法はどうなるんだゾ?』
恐る恐る問いかけるグリムを筆頭に他の寮生からも、自分の預けた魔法を返せと声が上がる
アズール『おやおや、みなさん。契約条件をもうお忘れで?"期末テストの対策ノートを渡す代わりに貴方の自慢の能力を一つ僕に預けてもらう"貴方が成績優秀者上位50名以内に入れれば、能力は返還し...更に卒業まで全てのテスト対策ノートをあげましょう。
でももし、貴方が50位以内に入れなかった時には...卒業までの間、僕に絶対服従の下僕となる、とね。
契約上、既にみなさんの身柄は髪の毛の一本まで僕のものです。つまり、能力を返す返さないのも僕の自由だ』