第22章 *閑話カームデイ1 ~リドル~*
手袋越しだけど、柔らかく滑らかな肌なのが容易に分かる。そして何よりも伝わってくる温もりがとても心地いい
『リドル、さん?』
リドル『少しの間で良い。キミに触れさせてほしい』
『いいよ。私もリドルさんに触れても良い?』
リドル『構わないよ』
『良かった...んふふ』
ボクの添えた手に自身の手を重ね気持ち良さそうに擦り寄る姿、そしてボクを見上げる上目遣いがまた心がざわめかせ、思わずもう1つの手で彼女を抱き寄せて腕に閉じ込めた
は!?ボクは何を!?抱きしめ???
リドル『っ!す、すまない。いきなり無礼な、』
待て待て待て、頭がパニックだ!
冷静になれリドル!前にも抱きしめたことはあっただろう!
と、とにかく今は彼女を離さなくては!
『ううん、離さなくて良いよ』
リドル『し、しかし』
『離れちゃダメ』
急いで離れようとしたが、背中に腕を回され先程よりも近くなってしまった
リドル『レイラ..?その...』
『やっと名前呼んでくれた...』
名前を呼んで欲しかったのか?そういえば今日は、いやあの日以来一度も彼女を名前で呼んでいなかった
いつも"キミ"としか...
優しく髪を鋤いてやると、風にのって甘い匂いが微かに漂ってくる
例の黒ウサギの匂いか...甘くて、心地よくて、気分が高まる
リドル『レイラ...』
もう一度今度は心を込めて名前を呼ぶと、ボクを見上げ嬉しそうに"ん?"と首をかしげる
可愛い...
リドル『いや、呼んでみただけだ』
強く抱きしめると、レイラはボクの肩口に顔を埋めてより密着してくる。甘えてくれているのか?もしそうならば嬉しいな
『そっか。ん...あったかい』
頬を緩ませて幸せそうな顔をして...
小さくて細くて今にも壊してしまいそうだ。壊す気はないけれど...
そんな彼女を守ってあげたい。この笑顔をもっと見たい
ボクの中に知らない感情、いや忘れていた想いがゆっくりと満たされていく
目の前の彼女が愛おしい....