第22章 *閑話カームデイ1 ~リドル~*
『はーい』
トレイ『お迎えに上がりました。可愛いウサギさん』
寮服を身に纏い、わざとらしく片膝をつき恭しく頭を下げて挨拶したトレイに、苦笑いしつつもそっと手を出した
『...エスコート、お願い?』
トレイ『喜んで』
その手を取り甲にキスをすると、立ち上がり手を引きながらレイラを外へ連れ出した
ユウ『トレイ先輩、レイラをよろしくお願いします』
トレイ『おう、帰りもちゃんと送るから安心しろ』
グリム『リドルに言っとけ!またレイラに酷いこと言ったら、オレ様が尻を燃やしてやるんだゾ!』
トレイ『ははっ、よく言っとくよ』
爪を剥き出しにして怒るグリムに笑いながら頷くと、ゆっくりとオンボロ寮を後にした
トレイ『いきなりで悪かったな。今さら聞くけど、来て良かったのか?』
『ん。それに私もリドルさんとお話ししたかったからちょうど良かった』
トレイ『そうか。リドルのやつ、今日レイラが来てくれるか不安がってたから凄く嬉しがるぞ』
『そうだと、いいな』
〔リドル〕
あぁ...不安で仕方ない
パーティー会場ではやる気持ちを押さえつけながら(押さえつけれてはいない)テーブルの周りをぐるぐると忙しなく回る
落ち着けリドル・ローズハート...そうだ、会場の最終確認をしよう。彼女のためにと用意した今日のパーティー。いつも以上に細かく、入念にチェックしなければ
完璧に....
薔薇の色は塗り残しのない赤だ。しまった、どうせなら彼女に好きな色を聞いてその色にすれば良かった
テーブルと椅子の位置は。余り太陽の当たる場所は好まないか?
完璧なパーティーをしなければならないのに..そう完璧に..
...はっ!ボクとしたことが完璧に拘りすぎた。ルールとか完璧とか、うるさく悩めば彼女が嫌がるじゃないか
あの日から何も変われていないなボクは..これでは何の謝罪にもならない。少しでも変わったボクを見せたいのに...
いや、それよりもまずは彼女が来るかどうかだ。勢いで手紙を書いて誘ったが、そもそも彼女に来る意志があるかを聞いていなかった
これではほぼ強制参加だ
もしユウ達と前から予定が入っていたら..優しい彼女だから悩んでしまうだろう