第22章 *閑話カームデイ1 ~リドル~*
現在・オンボロ寮
グリム『まさかあのリドルがお詫びなんて出来る脳があったとは思わなかったんだゾ』
ユウ『こら、失礼だよ』
『後はこれ』
手紙と一緒に渡された黒い袋の中身を取り出すと、そこにはハーツラビュル寮の寮服のような、白生地に赤と黒の差し色が鮮やかに映え、先の方には真っ赤な薔薇の刺繍が施されている綺麗なリボンが手に乗っていた
『可愛い...』
ユウ『髪結ぼっか。上で1つにする?それとも下にする?』
『下で』
了解、とユウは櫛で髪を鋤きながら下で一ヶ所に集めると、きっちり縛らずに少し余裕を持たせながらリボンを使って髪をとめた
いつもの下ろした髪型とは違った印象を感じさせる姿に、ユウは満足げに頷いた
ユウ『うん、可愛い』
『ありがと』
ユウ『本当に僕も行かなくて大丈夫?』
『ん..リドルさん1対1で話したいだろうし。それに、ユウに頼ってばかりじゃ...いられない』
ユウ『僕としてはレイラに頼ってもらえなくなると思うと寂しいな』
束ねた髪を櫛で鋤きながら苦笑いすると、少し焦った様子でレイラは振り返る
『ユウの事はいつだって頼ってる。でも、自分で出来ること、増やしたくて..』
ユウ『うん、分かってるよ。努力してるのも、僕に迷惑をかけたくないのも分かってる』
櫛を置き、不安げに瞳を揺らすレイラを抱きしめそっと額に口づける
ユウ『僕はここで待ってる。楽しんでおいで』
『ん...ユウ、大好き』
グリム『オマエ達いつもイチャイチャして暑苦しいんだゾ』
『グリムもぎゅーってしてあげる』
グリム『オレ様は別に、ふな"っ!』
二人の甘い雰囲気にいつもの事ながら呆れてため息をつくグリムに、自分もして欲しいのかと解釈したレイラは颯爽とグリムを抱きしめる
『グリムも好き』
グリム『うぅ~良い匂いのせいで離れづらいんだゾ』
抱きしめられていることでいつも薬で抑えられているレイラの甘い匂いが僅かに鼻孔を掠め、抵抗しようにももっと嗅ぎたいという欲が勝り離れられずにいた
コンコンコン
ユウ『あ、トレイ先輩が迎えに来たみたいだよ』
『行こう』
グリム『その前にオレ様を離してから行くんだゾ..』