第21章 *終曲サバナクロー*
ラギー『そこは"いつも気を効かせてくれてありがとう"ぐらい言っても良いんじゃないっすか?まぁ、無事に仲直り出来たんなら良いっすけどね』
レオナ『...俺はあいつに宣戦布告をしてきた』
ラギー『何のっすか?』
レオナ『"これからは手加減しねぇで全力で狩る"ってな。ここからは本気の狩りの時間だ。何の躊躇いもねぇ』
ギラギラと目を光らせ、そっと舌舐めずりするその様は正しく獲物を前にして興奮する猛獣そのものだった
ラギー『こりゃあの子も随分と危険な猛獣に好かれちゃったすね。そんな本気になったレオナさんにオレから報告1つ』
レオナ『なんだ?』
ラギー『色々考えた末に決断したんすけど。オレ..あんたにあの子を、レイラちゃんを渡す気ないっすわ』
レオナ『...ほう、それは何だ?この俺と獲物の奪い合いをしようって事か?』
欲に輝いていた瞳が敵を見る目に変わり、横目でラギーを睨み付けた
這いずるような低い声にラギーの全身の毛が逆立つような恐怖が襲ってくる。だがそれでも彼は退くことなく真っ直ぐレオナを見つめる
ラギー『そう受け取ってもらって良いっすよ。今まではあんたのおこぼれって感じだったっすけど...自分の気持ちに気づいちゃったんで。今回ばかりはハイエナのように誰かの食べ残しじゃ我慢出来ないっす』
レオナ『ふん...あいつはお前には勿体ねぇ上物だ。簡単に渡すと思うなよ』
ラギー『勿論あんたが相手の時点で簡単な訳ないじゃないっすか。それに、普段つるんでるあいつらもいるし...でも、それでもオレはあの子が欲しいっすわ』
ラギーの瞳に自分と同じ本気の色が見え、生半可な気持ちでないとレオナは自然と悟った
レオナ『...いいぜ、相手になってやるよ』
ラギー『うぃっす。さてと、キミはどうなんすか..ジャックくん?』
声を大きくしながら談話室全体へと響かせると、二人の後ろの奥の影からユラユラと尻尾を揺らしながらジャックは静かに歩いてきた
ジャック『....』
レオナ『また盗み聞きか...躾のなってねぇ奴だ』
ラギー『まぁまぁ良いじゃないっすか。それで?ジャックくんはオレらの話し聞いてどう思うっすか?』